コラム
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2022/7/5
1881    +30分
+30分

母校の向陽高校を訪問しました。会議に向かうため校舎の廊下を歩いていき、教室の前に着くと貼り紙がありました。

「自主学習時間週14時間以上。1日+30分できれば、ほとんどの生徒が週14時間以上になってきます」と書かれていました。生徒の成績をあげるために書かれた言葉ですが、大人にも通用する法則です。

この貼り紙のタイトルは「『やらされる勉強』ではなく『自分から進んでやる勉強』は楽しい」です。これも勉強だけではなく仕事や日常の活動にも当てはまる言葉です。

一日たった30分やることがやがて大きな差となって表れます。一日30分を積み重ねた時間は一か月で900分、15時間になっています。一日30分をやらずにいて、試験前日に勉強時間を取り戻すためには15時間の勉強時間が必要となります。

直前に15時間も勉強できることはなく、しかも一日で15時間勉強できたとしても記憶として定着はしませんし、詰め込むだけで思考力の向上にもなりません。まさに一夜漬けです。一夜漬けもやらないよりは「まし」ですが、毎日の積み重ねてきたことには敵いません。

何度も伝えているように、毎日、積み重ねた時間はやがて大差になっているのです。

一日30分の勉強はやろうと思えば誰にでもできることです。二日で1時間、勉強の時間を確保することも誰にでもできることです。でも日常、やっていないことを一気にすることは簡単なことではありませんし、やはり毎日勉強している人には敵いません。

このことはこの貼り紙には前提条件が書かれていますが、こちらも大事なことです。

「自主学習時間週14時間以上」の下にある項目です。「土日強化型 平日1.5時間、休日3.5時間」「スタンダード型 平日2時間、休日2時間」のお約束事です。

お分かりの通り、スタンダード型を参考にすると、一日2時間の勉強が基本であり、そこに30分の勉強時間を確保することなのです。表現を変えると毎日2時間30分、勉強する時間を確保することです。勉強に慣れていなければ「やっと終わった」と思った後に30分勉強することは簡単ではないことです。

「やっと終わった」の次に積み重ねるわずかな時間が、さらに実力を伸ばしてくれる時間となります。これが人よりも少しだけ長く勉強時間を取ることであり、人よりも少しだけ多くの回数をやることなのです。

基礎体力づくりの練習に例えると、腹筋を100回やった後に10回追加すること。腕立て伏せを100回やった後に10回追加することのようなものです。「やっと終わった」後の10回は精神的に苦しいものです。練習の最初から「今日は110回やろう」と決めて始めなければ、目標を達成した後に回数を追加することは精神的にきついのです。

つまり最初の意気込みが違うと結果も違うということです。このことは「近くの山に登るための最初の一歩と、富士山に登るために踏み出す一歩は違う」のです。何が違うかというと心意気、覚悟が違うことになります。スタートするときの覚悟が違うと、得られる結果も違うのです。それが「一日+30分」の意味なのです。

高校生に向けたこの貼り紙は、学校を訪れた大人にとっても気づきとやる気にさせるものです。自分の持っている目標を「+30分」に修正したいと思います。