コラム
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2021/11/19
1863    掃除のおばちゃん その2

最大の親しみを込めて「掃除のおばちゃん」と呼びますが、会社の地階にある皆さんの控室を訪ねました。ドアをノックすると一人の男性がいてくれました。もちろん顔見知りの方でいつも挨拶を交わしています。

「片桐さん、来てくれたのですか」と驚いて迎えてくれました。挨拶をしていると仕事を終えた「掃除のおばちゃん」が戻ってきました。

「わぁ、片桐さん、いま二階の廊下で片桐さんの話をしていたところですよ」と話しかけてくれたのです。「片桐さんの姿が見えなくなったので、『どうしたのだろう』と思っていたのですよ」と話してくれました。

続けて「私達のようなものに対しても挨拶をしてくれたり、声をかけてくれたのは片桐さんだけですから本当に感謝しています。いつも『親切で良い人だよね』と話していたのですよ」と話してくれました。

僕は「夏の暑い日でも雑草を除去していることを知っていますし、冬の寒い日にさえ、冷たい水に雑巾を浸して机やトイレを拭いてくれていることを知っています。大きなゴミ箱に溜まったごみをオフィスから持って行くのは力が要りますが、一所懸命に運んでくれていることも知っています。トイレに季節の花を飾ってくれていることも知っています。そして勤務時間は朝の6時からなのに15分以上も前から出勤してくれていることも知っていますから凄いですよね。仕事とはいえ出来ることではないですよ。挨拶が遅れましたが退職したので挨拶に来させてもらいました。これまで良くしてくれてありがとうございます。時々来ますから、引き続きお願いいたします」と伝えました。

「片桐さんがいなくなって寂しくなりました。こんな私達に対して、親切に声をかけてくれる人がいてくれたことを嬉しく思います。こんなに親切にしてくれる人がいるんだなぁと話しているのですよ」と応えてくれました。

そして「会社に立ち寄った時は、たまには顔を見せてくださいよ。いつでも歓迎していますから」と笑顔で話してくれました。

僕からは「もちろん、来させてもらいます。皆さんの笑顔は素敵ですし、親切に迎えてくれることは嬉しいことですから」と応えました。

朝の挨拶、廊下ですれ違った時の挨拶、掃除をしている時に「無理をしないでくださいね」などその時々の言葉をかけることの日々が積み重なって、お互いに親しみを感じるようになっていきます。何気ない挨拶がどれだけ心のつながりになっていたのかを感じる瞬間でした。

そういえば「土曜日の朝も出勤して職場の清掃をしてくれていたな」と思い出しました。金曜日の終業後にもゴミが発生していますし、トイレや洗面所の掃除の必要があるからです。清掃の叔母ちゃん達は職場から見えないところで、働いている姿を感じることが少ない時間帯で仕事をしてくれています。見えないところで支えてくれている人がいるので、新しい朝に気持ちよく仕事ができる環境が整っているのです。

地下の控室で仕事を終えたばかりの皆さんと、挨拶の言葉を交わした幸せな時間となりました。本当に心がきれいな素敵な皆さんに感謝しています。挨拶を交わして階段を登りながら微笑んでいる自分がいました。温かい言葉を交わすことが出来ました。