コラム
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2021/9/24
1849    武器は言葉

「信じてないなら優勝できない。信じてないなら大きいチームに勝てない。自分の力を信じていなければ何もできないと思います」。「東京オリンピック2020」の日本代表女子バスケットチームのトム・ホーバス監督の言葉です。

フランスチームとの試合の途中の言葉。「顔が良くないよ」。リードされた展開になったのでタイムアウトの時に選手にかけた言葉です。表情に自身がないことはプレイに支障が出ます。チームとしての「エネルギー量は絶対に負けてはいけない」と練習の時から指導しているので、それを思い出させるために「顔が良くない」と伝えたのです。タイムアウトの直後から選手は試合の中で笑顔を見せるようになり、試合展開は変わっていったのです。

アメリカチームとの試合の言葉。「オリンピックだよ。得点は意識しなくていいから1分も無駄にしてはダメだよ」。

たとえリードされていて残り時間からすると逆転できないと分かっていても、その試合はただの試合ではありません。目指してきたオリンピックの試合なのです。たった一度の東京オリンピックの決勝戦の舞台です。目指してきた試合を最後まで粘ることなく諦めてしまうことは勿体ないことですから、残り1分、やるべきことは「日本のバスケットをしよう」だったのです。

勝つことは目指してきたものなので大事なことですが、勝つことだけを目指すよりも代表選手としてプレイすることが大事なことだと思います。諦めないことが人生ですから、得点で追いつけないからと試合で諦めていては、この先もアメリカチームに勝つことはできません。

「選手はコーチの言葉を見抜きます。言葉に心が入っていなければ選手に届かないのです」と監督の言葉です。

言葉は立ち上がる力を与えてくれますし、逆に自信を失わせることにもなります。コーチや先輩からの心に届く励ましの言葉は、順風の中を走らせてくれるような力があります。日本代表女子バスケットチームを「スーパーチーム」と表現したトム・ホーバス監督は、言葉の力によって銀メダルを獲得するようなスーパーチームをつくり上げたのです。

言葉を武器にしているのは議員も同じです。むしろ議員は言葉だけが武器だと言えます。言葉によって質疑を交わし提言をします。それ以外の方法はありませんから、これまで以上に伝える言葉を大事にして活動を行うことを思いました。

議会活動は真剣勝負の場であり、議員にとってのオリンピックの舞台のようなものです。無駄にする時間はなく、常に登壇する気持ちを持ち続けることが必要です。常に登壇することは簡単なことではありません。大きな試合に挑み勝つためには日頃からの練習量が必要です。試合がある限り練習は続くのです。

議会で登壇することが試合だとすれば、議員にとって日常活動が練習です。練習の日の方が圧倒的に長く、活動時間は多くなります。その時間を無駄にしていると試合に勝つことはできないばかりか、舞台に立つこともできません。練習を怠ると試合で力を発揮できないからです。登壇して挑む相手は知事と部長ですから、情報量や行政知識、過去から積み重ねている経験の量は段違いです。

そこに一人の議員として議会に挑むのですから、戦うためには現場を知ること、現地で意見や要望を聞くこと。そして見聞きしたことを文章にまとめる力と、文章に心を込めることが大事だと考えています。それがなくて情報量や行政経験などの机上の対決になれば、やる前から勝負は見えています。知事や部長と議論するためには、現場で得た力、現場で得られる力を持つ必要があります。

積み重なった活動を振り返って「これまでやってきてよかった」と思います。