コラム
コラム
2021/7/2
1799    定年退職

現在、多くの企業は60歳定年です。新入社員の時は50歳でもくたびれた高齢者という感じがあり、30歳でもかなり年上のおじさんという感じがしました。そして定年前の人は本当に「定年前」という感じが漂っていて、感覚的に「体力的に、もう仕事をするのは無理だろうな」そして「お疲れさまでした」という感じでした。

これまでどれだけ多くの先輩に定年のお祝いをして送り出してきたことでしょう。定年を迎える日なんて来ないと思って労い会を行ってきました。現在はコロナ禍の影響で送別会は中止しているため、職場単位での送別会は実施していません。それだけに惜別の念が湧いてくることもありますが、とりわけ同期が誕生日を迎えて定年の日を迎えると、やはり特別の寂しさを感じます。

「もう同じ年が定年になるのか」と思うと、年月の過ぎる速さは高速だと感じます。光陰矢の如しとはよく言ったもので、現役時代はあっという間に過ぎ去っていきます。入社した時は、定年を迎えるなんて想像もできませんでした。ところが一年一年が過ぎて積み重なり60歳の年を迎えることになるのです。

人は仕事を通じて成長していきます。人生は仕事と共にあります。人生の大半を過ごし生涯の仕事から離れる時の気持ちはどんなものなのでしょうか。少し早く定年を迎えた同期は「感慨に浸って涙が零れました」と伝えてくれました。これまでの仕事を思い出したのか、人とのつながりを振り返ったのか、その内心を知ることは出来ませんが、慣れた場所を離れることは寂しいものです。しかももう戻ってこられない場所になるなら尚更です。
「同期に恵まれて幸せな会社生活でした」と話してくれたことは嬉しい限りです。普段は話す機会はないのですが「つながっている感」を感じています。

また出向することになった同期は「大阪勤務ですが、まだ働かせてもらえるということで、出向させてもらえたことに感謝しています。和歌山市から大阪までの通勤も大丈夫ですよ」と話してくれました。部下に厳しい人だけに「人は年齢と共に丸くなっていくのだな」と感じる言葉でした。

離れ離れになりますが「近いうちに同期会でもやりましょう」と話し合って別れることになりました。そう言えばずっと以前に同期会を開催しただけで、最近は飲みに行く機会はありませんでした。
一人は「これからは自分の好きなことをやりたいと思います。大きなことは出来ませんが小さなことをやりたいと思います」と謙虚に話してくれました。

もう一人は「あと暫く働かせてもらえることに感謝やわ。贅沢なことは言えないので、出向させてもらえること、この会社に感謝です」と話してくれました。

希望だけを持って入社した仲間が、社会の荒波にもまれた結果、感謝の気持ちを持って卒業していくことになりました。希望の持てる会社、感謝する気持ちを学んだ会社。そんな会社生活が「幸せなものでした」と言えることを嬉しく思います。
令和3年7月1日。一人は定年退職、一人は出向の発令となります。それぞれが違った新しい人生のステージに進むことになります。

僕からも一言「よい同期に恵まれて楽しく過ごせました、ありがとう。感謝です」。