コラム
コラム
2021/7/5
1800    理事の行動

ある団体の理事会が開催されました。その席でA理事から議案に記載されていない提言がされました。「顧問として迎え入れたい人がいる」との提言でした。

それに対してM理事が「誰がその人を顧問に迎え入れることを決めたんだ。顧問を入れ替えるということなのか。その必要があるのか」と質問しました。

A理事は「外部から話があったので説明した」。

それに対してM理事は「現在に何か問題でもあるのか。組織運営もできているし、顧問からは支援してもらっているし、これまでもたくさんの支援をいただいてきました。これだけ支援してくれる顧問は他にいるのか。これまでどれだけの協力をしてもらっているのか。困っている時に支援してくれたことを分かっているのか」と意見を述べました。

続けて「それでも顧問を入れ替えると言うのであれば俺はこの会を辞めますから」。

この議論になった時、K理事も意見を述べました。

「そんな提言をするのであれば私も辞めます。相談に応えてくれているし、今も顧問の方々に何の問題があるのか」と言う発言です。提案者の発言が止まりました。M理事は「事前に理事に相談もなしにこんな話を聞いてくるのはどうかしている。しかも議題にないことを突然提言するのは誰からの指示があったのか。今の政策の支援を受けられないというのであれば、顧問を押し込んでくる者たちは一体誰を見ているのか。県民である我々の意見を聞いて応援してくれるべきではないのか。周囲の顔色を見て行動しているだけで、どっちを見ているのか分からないではないか。我々県民のための提言なのか、権力者のための提言なのか。もし県民のためだというのであれば、立場が違っても県民のために協力することがやるべきことでしょう。それをしないで顧問を変えようとしてくるのは全く賛成できない。これまでも顧問は仲良く協力して我々のために話し合って動いて来てくれている。何の問題があると言うのか」と発言しました。

理事会終了後、この会での提言と議論の経過を報告してくれました。「顧問のことは二年前も役員が集まって現状の体制で行くことを確認しているのに、また同じ話を出してきたのは組織を乱す行為であることを分からないのかと思う。今回も理事の意見も確認しないで勝手な議題を持ち出すのは如何なものかと思う」と話してくれました。

またK理事は「理事会での突然の提言に対してM理事は反対の意見を伝えてくれました。そして『そんなことをするなら俺は辞める』とまで言ったのです。私も同じ思いなので『そんなことをするのであれば私も辞めます』と発言しました。県民や県内の団体がうまくいくように支援してくれるのが顧問であり、権力を背景にして民間団体に押し込むようなことをするのが顧問ではないと思います。人として大事な心を持っていることが顧問には必要なので誰でも受け入れるものではありません」と伝えてくれたのです。

二人の電話と話の内容に感動しました。この件に対して自分のことのように怒り、「辞める」ことも辞さずに意見を述べてくれたのです。

「誰のために組織はあるのか」を考えさせられる出来事でした。組織は権力者が利用するためにあるのではなくて、組織に加入している人のためにあるのです。権力を背景に奪おうとする心の貧しさを感じる出来事でした。僕は二人の方の言動に感動と誇りを感じています。