コラム
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2018/1/10
1695    待ち時間

親は子どもに迷惑をかけたくないと思っています。僕の母親は、人から頼まれたことなら「できることなら願いを聞いて欲しい」と伝えるのですが、自分のことは決して言わないのです。我慢強い母親だと思います。

母は奥歯に痛みがあったことから歯医者に行くと、「奥歯を抜いたら痛みは治まる」と言われたので、歯を2本抜いたのです。しかし歯茎の痛みは治まらないので、和歌山県立医科大学付属病院で診てもらうことになりました。この間の手続きは全て自分でやっていました。

診察の予約をしていたことを知り合いから聞いて、僕は初めて医大での診察予約について知りました。

母親に連絡をしたところ「誰から聞いたのですか。迷惑をかけたくないので言わないでおいたのに」と返答がありました。「歯茎の痛みが治まらなければ言ってくれたら良かったのに」と話すと、「心配するから」という答えでした。

そこで「予約の日は医大まで送っていくから」と言うと、「自分で行けるから大丈夫。忙しいから、こんなことに時間を取らなくて良いから」と言うばかりでした。

母は辛抱強くて、人に迷惑をかけることが嫌いなのです。そして自分のことよりも人のことを優先する性格なので、自分のことで頼んでくることはありません。

歯科に10時30分に予約をしていたものの、診察を終えたのが午後2時30分でした。約4時間、待ち時間と診察時間の少しだけですが一緒にいられたことを嬉しく思います。一人で診察までの時間を待っていると時間を持て余しますし、知識の少ないことに対しては不安が過ります。

問診の後、歯茎のレントゲン撮影を行うまで添うことができましたが、最終の診察をする前に仕事の都合で医大を後にすることになりました。一人待合室に残すことになったことを申し訳なく思っています。

さて診察結果は歯茎の神経痛だったようです。その結果を受けて母親の友人から「長時間の待ち時間だったそうですね。お忙しいのに有り難かったと思います。お母さんは辛抱強くて我慢強い人です。その分、余計に心配します」と連絡をいただきました。

少し安心したことは、歯はまだ丈夫で問題はないということでした。神経痛の治療方針はこれからになると思いますが、抜本的な痛みを止める方法はないようで、痛み止めの薬を服用することやブロック注射をするぐらいだそうです。

「様子をみて痛みが強ければブロック注射をしてみましょう」という診察結果があったようですが、母は「注射をしても治らないようです。結局は痛みに慣れる他ないのかなと思います」と話してくれました。

「痛みが止まらなければ、長く痛みを止められないとしても注射をしてみたら。少しでも痛みがなくなら、注射をしてみるのも方法だと思います」と話しましたが、母の性格からすると痛みを我慢すると思っています。痛み止めのために注射をするなら続ける必要があるので、痛みが発生する都度、医大に通院することになります。きっと迷惑をかけたくないと思うことでしょう。診察までの待ち時間は時間にして約2時間でしたが短く感じました。傍にいられたことを嬉しく思います。