コラム
コラム
2016/12/19
1671    本番のための稽古

東京都国立市の石井めぐみ市議会議員のコメントを聞かせてもらいました。石井めぐみ議員は元タレントで、現在は国立市議会議員になっています。インタビューで「議会定例会のない時は議員としてどんな活動をしているのですか」という質問を受けていました。

石井議員は「俳優で例えると、議会本会議は本番であり、議会と議会の間の期間は稽古の時間です」と答えていました。どんなことでも、いきなり本番だと上手くいくことはありません。本番や試合の日が決まっていると、そこに向けた稽古や練習を行い、本番で活躍できるように仕上げていきます。

一般的に地方議会は三カ月に一度開催されていますから、「地方議員は議会のない期間の方が多いので、議会のない時は何をしているのだろう」と思っている人がいます。

その疑問に対し石井議員と本番と稽古に例えて説明をしていました。石井議員の言う通りだと思います。本番を迎えるためには準備期間が必要で、準備期間は本番に向けて稽古や練習の時間となります。この準備に要する時間がとても大切なのです。この時間がなければ本番を迎えることはできないほどです。

練習をしないでフルマラソンを走ることはできません。稽古をしないでお客さんのいる舞台に立つことはできません。勉強をしないで試験に合格することはありません。準備期間の大切さは全てのことに当てはまります。

石井議員は議会と議会の間の時間は、先進地の視察や事業計画書の精読などに充当していると話していました。議会で質問する項目を、現場を見もしないで取り上げることはできないのです。実際に現場でその施設を利用している人や管理している人の意見はどうなのか。先進地がその施策をしようとした理由や背景はどうなっているのか。など、現場に行かないと分からないことがあります。

資料やデータはインターネットなどで検索すると入手することができますが、現場経験がないと議会で取り上げることはできないのです。それは、議会では現場からの声や現場の意見がとても大事なものになるからです。どう考えても行政の方が議員よりも情報量やデータが多いうえ、国などからの情報も早いのです。圧倒的な資料とデータに対抗するためには、現場を知ることが必要です。

インターネットで情報を得る程度では、絶対に行政機関に勝つことや対抗することはできません。条例や事業計画、予算の裏付けとなる資料に対抗して意見を述べるためには、現場からの意見が絶対に必要となります。

議会閉会中は、現場を訪ねること、現場を歩くこと、現場で人に会い意見を聞くことを行っています。現場で見たことや感じたこと、現場からの意見などに基づいて情報を整理していきます。情報を整理する中で不足している情報はインターネットで探すことはあります。それはあくまでも現場を補完するために使用するものです。

ですから議会と議会の間の時間は、僕の感覚的には瞬時に過ぎてしまっています。この期間に現場を訪ねることや先進地の視察に出掛けることをするのです。これをしておかないと議会で発言することは出来ません。日頃、練習をしていないのに練習を重ねてきた相手と試合をするようなものです。それでは10回試合をしても10回とも負けてしまいます。

練習をしていない人が練習をしている人に勝てるほど、社会や議会は甘くはないのです。一般的に地方議会は年間4回、3月、6月、9月、12月に開催されることになっています。本番の日が決まっていますから、そこに備えて準備を行う必要があります。本番の日が決まっているのに、何もしないで本番を迎える人はいない筈です。

地方議員は常に本番を迎える準備をしていますから、議会閉会中の日常も真剣に行動しています。三カ月に一度、本番を迎えるのですから緊張感と真剣さを持って日常を過ごしているので、毎日の時間は濃密なものになっています。