コラム
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2016/8/29
1660    夏風邪

平成28年の夏は猛暑で忘れられない年になりそうです。これまでも暑い夏を経験してきましたが、今年ほど体力が消耗した年はなかったように感じます。熱中症で倒れた現役の男性がいるなど、とにかく日差しが強い夏です。

そんな8月のお盆。母も夏風邪で少し辛そうにしていました。暑さで体力を消耗していた時に無理をして風邪をひいたように思います。普段あまり行くことができないのですが、何かあると心配で駆けつけています。食欲がないから疲れている姿を見ると、とても心配になります。

おにぎり、バナナ、食パン、牛乳など食べられるようなものを買っていくのですが、少しでも食べて元気になってくれたら良いと願ってのことです。母ももう81歳ですから決して無理をしないで欲しいのですが、我慢強い人なので食事や旅行などの誘いには無理をして行っていると思います。

今年の夏は気のせいか、痩せて少し小さくなったように感じたことや、昨年よりも「足や手が細くなっているなぁ」と感じました。誰でも年を重ねていきますが、母に対しても確実に年は襲っているように思います。これ以上、母の体力を奪わないようにもう時が止まって欲しいと思いました。

テレビではリオオリンピックが映し出されています。日本人選手の活躍に元気をもらいながら、2020年の東京オリンピックの時の母と子は「どんな姿になっているのだろうか」と思ってしまいました。今年と同じように日本人選手の活躍を観て話し合えているなら、とても幸せなことです。

突然、母が「時が過ぎるのは本当に早いなぁ。前回の東京オリンピックの時、章浩はまだ3歳だったからね。あの時は小松原に住んでいたから、通りに出て聖火ランナーの走りを見に行ったのにね」と昭和39年の東京オリンピックで和歌山市に聖火ランナーが走った時のことを話してくれました。

僕は見に行った記憶はないのですが、これまでも何度か小松原を聖火ランナーが走ったのを見に行ったことを聞かせてもらったことがあります。これまでは、そんなに遠い昔だと思わなかったのですが、今回は「随分遠い昔」だと思いました。

「もう52年も前のこと」だと母が話したことも原因かも知れません。年月は駆け足で走り抜けていると思いました。3歳だった僕が55歳になっている。今年81歳の母は、52年前は29歳だったのです。若い母が子どもの僕をつれて、もしかしたら抱っこして小松原の人ごみの中で、聖火ランナーに手を振っていたのかも知れません。

きっとまだ何のことか分からない僕を高く掲げて「ほら、オリンピックの火だよ」と呟いて聖火ランナーを見せてくれていたと思います。

僕が記憶にない思い出は母の中にもっとたくさんあると思います。ふと、「29歳の母が思っていたように、そして想像していたように僕は成長できているのかな」と思いました。

今の僕に対して周囲が言ってくれている言葉。「真面目」、「休まない」、「無理をする」、「人のことを考え過ぎる」、「みんなから好かれている」、「無駄遣いをしない」などは、母とそっくりだと思います。母の良いところを引き継いでいるなら嬉しいことです。