コラム
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2015/12/24
1627    帝京大学ラグビー部2

帝京大学のラグビーの強さの秘密ですが、技術面ではスピードを重視していることにあります。スピードには種類があります。

相手を振り切るスピード。咄嗟に判断できるスピード。一つのプレイを終えた後、次のプレイに加われるスピード。スピード力が相手を圧倒する源泉になっているようです。身体能力としてのスピードと、考えて結論を出すまでのスピードが勝つために必要な能力だと言えるようです。

ところで帝京大学の岩出雅之監督は選手たちに当たり前のことを実践することを求めています。日常できていることは実践でもできますが、日常やっていないことは、いざと言う時にできません。大切なこととして、丁寧に日常生活を送ることを求めています。

同大学のラグビー部のグラウンドやクラブハウスは整理整頓されていて、ゴミが落ちていないことで有名です。試合場でも試合前と後に清掃を行い、地域の清掃活動も行っているようです。

岩出監督はその著書「負けない作法」の中で、「心身ともきちんとしていて、お礼も丁寧であり、何事にも一生懸命な人物のことを悪く思う人はいないでしょう」と語っています。

そして「ゴミが落ちていれば拾う。人に会えば『こんにちは』と挨拶をする。何かをしていただいたら『ありがとう』と感謝をする。身の回りを整え、そうした日常生活の小さなことを大切にしていれば、気が付いたときには、自然と自分の周囲には応援団ができていることでしょう。負けないためには自分の応援団がいることも必要です」と記しています。

ラグビーで勝つためには厳しい練習の質と量が最も重要だと思っていましたが、清掃や挨拶、感謝の言葉で伝えることなど、小さな日常生活の習慣を大切にしていることが、負けないために必要なことだと知りました。六連覇を達成している監督の選手指導の基本がそれですから、事実として捉えたいと思います。

人はしてもらったことに感謝し、その次は自分から行動を起こし、最終段階は感謝される立場の人になることを目指さなければなりません。人から感謝される人になるには、自分が感謝したことをたくさん持っている必要があります。人からやってもらって嬉しかったことや、幸せを感じたことをたくさん持っている人が、次の段階である人から感謝される人へと進むことができます。もし感謝する心を持っていなければ、感謝される人になりたいと思わないからです。

最初、人は与えてもらうことばかりです。両親から幸せな生活を与えてもらい、学校の先生からは生きる力を与えてもらいます。友達からは人と一緒にいて笑うことや学ぶこと、時には苦しいことを体験することが幸せであることを教えてもらいます。社会人になれば先輩や上司から、社会で生きていく術を与えてもらいます。社会では同僚やお客さん、社会の視線というものがあることを教えてもらうのです。温かい視線もあれば冷たい視線もあります。時には批判の視線もあり、そんな社会からの視線が自分を鍛えてくれていることを知ります。

社会は厳しくても、生きるための基本は日常生活の小さなことを大切にすることにあります。掃除をすること、挨拶をすること、感謝の気持を持っていること。この基本ができいるとやがて自分の応援団を作ってくれます。岩出雅之監督のことを知り、世界が広がりました。