コラム
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2015/12/18
1626    帝京大学ラグビー部

帝京大学ラグビー部の岩出雅之監督は和歌山県出身です。監督と交流のある元ラガーマンのYさんと懇談する機会がありました。現在、帝京大学は大学日本一を六連覇している最中で、現在、七連覇を賭けた戦いを繰り広げています。大学日本一六連覇を更新しようとしている凄さを感じます。平尾選手がいた全盛期の同志社大学が三連覇で、これがそれまでの記録でしたが、帝京大学その記録を大幅には更新中ですから驚きます。

Yさんのとの懇談で、その強さの秘密の一端に触れることができました。

それは人間力を鍛える、高める点にあります。帝京大学は和歌山市まで試合に来たことがあります。その時に宿泊した旅館のオーナーが驚いたそうです。

それは「これまで大勢のスポーツ選手が宿泊してくれましたが、帝京大学の選手の礼儀正しさは飛び抜けています。これほどの礼儀正しいチームは過去にありませんでした。地元の小学生や中、高校生に帝京大学の選手の姿勢を見せてあげたいと思います」と話していたそうです。

何が凄かったかと言うと、旅館の人やお客さんと廊下などで会った時には丁寧に挨拶をすること。食事のマナーが良いこと。履物はきっちりと揃えること。宿泊した部屋はとてもきれいに保たれていることなどです。つまり礼儀正しいこと、感謝の気持を持っていることが凄いのです。

旅館でお世話してくれている人など周囲の人に対して常に感謝の気持を持っていることが最大の強みです。ラグビーができるのは、自分を支えてくれている全ての人のお蔭だということを知っているのです。

旅館でこの姿勢ができるのは、毎日の生活が礼儀正しく、感謝の気持で過ごしているということです。毎日していることが今日できることです。毎日やっていないことは今日もできませんから、和歌山市に来た時の姿勢から帝京大学ラグビー部は毎日、感謝の気持を持って練習や生活をしていることが伺えます。

自分から挨拶をするここと、身の回りをきれいに掃除すること、グラウンドを整備することなど、選手は当たり前にできているのです。やるべきことは手を抜かずにやる。これが試合にも現れるのです。本気で練習をしているから試合でも力が発揮できるのであって、練習をいい加減にしていれば、試合でも同じようにいい加減なプレイをしてしまいます。日常の心掛けや習慣が大切であることが分かります。

もうひとつが雑用と呼ばれる仕事を四回生がやっていることです。通常は一回生が雑用係になるのですが、ここでは上級生が雑用を担当しています。それは四回生が雑用をする姿を見た下級生は、自分からその役割を務めようとする気持になるからです。元々、慣れない大学での生活と練習環境に適合するために一回生を雑用から開放したのですが、上級生の姿を見て、生活や練習の姿勢を学ぶことにつながっています。

そして四回生にとっては、卒業すると社会人一年生になりますから、偉そうな態度が身についてしまうと社会人として即戦力になれないことから、良き社会人になるためにも雑用を自分からやろうとする気持ちにさせることになります。常に感謝の気持を持ち、みんなのためになることは自分から進んでやる姿勢を持っていること。それが強さの秘密なのです。