コラム
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2015/8/17
1602    熱伝導

自分が直接関っているものに関しては熱意を持ち、そこに命を吹き込むように大事な扱い方をします。ところが決定した結果を示された人にとっては、それが特別なものではなく、大事なものでもありません。単に「やれと言われたので仕方なしにやる」とい気持ちになることがあります。

事業を成功させるためには、それに直接携わった人が「どれだけその思いを、熱意を持って伝えるか」にかかっています。事業を成功させるために必要なものは、熱意、自信、誇りを持つことだと思います。熱意、自信、誇りの三要素が人を動かす力になります。

ご縁があって2015−2016年度のライオンズクラブ335B地区1ゾーンのゾーンチェアパーソンを引き受けさせてもらいました。分相応ではないと思っていますが、引き受けたからには「やらなければならない」と思っています。

引き受けて良かったと思うことがあります。熱意を傾けて社会奉仕に務めている役員に出会えることです。一つのことに熱意を持って取り組み、自分の行動に自信を持ち、所属している組織が世界一だと誇りを持っている。そんな人に出会えることが大役を引き受けた見返りとなる最大の宝物です。

熱は伝導しますから、熱意の溢れる人と出会い話し合うことで熱伝導が生じます。熱意を受け取った人は、それと志を同じくする周囲の人に伝導させる義務を負うことになります。

熱は伝導させなければ冷めてしまうのを持つだけになります。それでは熱を受け取った立場の人としての責任を果せなくなります。

初めてライオンズクラブの国際大会に参加したことも、熱伝導を与えてもらった経験になりました。現地に行かないと感じられない熱がありました。集団としての熱、役員の皆さん熱、最高の舞台に参加しているという熱。それらのものを受け取ることができました。

そして2年後にライオンズクラブが誕生してから100周年を迎えることから、2年前の現在から着手している事業にも携わっています。命の尊厳として、子どもの命を守るための事業であるライフジャケット推進事業がそれです。しかもこの事業の舞台は和歌山県となります。南海トラフの到来が予測されている和歌山県沿岸部の子ども達の命を守るために私達ができることとして、危険性の高い沿岸部の保育園や幼稚園にライフジャケットを配備しようとする事業です。

この事業は中村ガバナーが最大の使命と考えて情熱を傾けているもので、100周年事業検討委員会や和歌山県庁総合防災課との協議などを経て、ガバナーの熱意に接することができています。和歌山県知事との共同宣言と署名式という場面に立ち会うことができ、緊張感、使命感、そしてここにいることの誇りを感じることができるものでした。

トップの熱意と思いは一緒にいる人に影響を与えます。当初は「ライフジャケットを寄贈する事業だから寄付金を集めるだけの事業」と思っていたのですが、そんなものではありませんでした。どんなことがあっても、命を大切にすることを子ども達に伝えることがこの推進事業の生命線なのです。

直接会うことのない子ども達に私達がメッセージを伝えるためには、ライフジャケットを贈るという温かさを添える必要があります。お金を集めて寄贈するのではなくて、「生きて大人になるということは素晴らしいこと」を伝えることが使命なのです。

思いを事業化する検討や作業に携わっているので、私はガバナーの思いや熱意を感じ取っています。この思いと熱意をメンバーに伝えることが私に課せられた役割となります。

熱伝導させるためには、国際大会や検討委員会で体験したことや感じ取ったことを自分の言葉で伝える必要があります。熱伝導を与えた言葉の力でメンバーの心を動かせることができたら、大役を引き受けさせてもらった価値があると考えています。もしこの推進事業の思いを伝え切れなかったなら、私の熱意と力量の不足となります。

熱伝導によってライフジャケット推進事業を全てのクラブで取り組んでもらえるように熱意を傾けたいと考えています。得がたい経験をすることで成長できるので、リーダーとしての修行をさせてもらえる役職を与えてもらったことに感謝しています。

追伸。ある時、こんな会話がありました。

ゾーンチェアパーソンに関して、「自分でやりたいと言った訳ではないですよ」と話をしたところ、「片桐さんは自分で役職を取りに行く人ではないことは分かっていますよ。役職はその役をみんながやって欲しいと思っている人のところに回っていくものです。だから片桐さんのところに回ってきたと思います」と話してくれました。みんながそう思ってくれているのだから、「やらなければ」とも思っています。