コラム
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2015/8/18
1603    平成27年夏の高校総体

平成27年度全国高校総合体育大会が和歌山県で開催されています。高校総体は高校生にとって目指すべきスポーツの最高峰であり憧れの舞台です。この舞台に出場することを目指して練習に耐えてきたのですから、拍手で激励したいと思います。

さて大会会長の挨拶にあった話です。高校総体の出場選手は予選を勝ち抜いた勝者ですが、本大会を迎える現時点では挑戦者の立場です。出場選手は全員、スタートラインに立っている挑戦者です。ここから勝ち上がっていくことが未来につながる道となります。現在の挑戦が確実に未来につながっていることを実感できる時期の大会であることは、実に意義があるものです。

会場でもらった資料の中に、過去の高校総体出場選手の高校時代の写真やコメントが掲載されていました。高校時代は無名でも後にオリンピック選手になった選手の写真が並んでいます。この選手を紹介した文が素晴らしいのです。「かつて仲間と一緒に激しい練習に汗を流していた。弱気の虫に負けそうになる自分と向き合い、嬉し涙と悔し涙で、いくどとなく、ほおをぬらしてきた」。と紹介されています。

どんな選手も、心が感じる弱気に打ち勝ち、嬉し涙と悔し涙を流してきたのです。誰でも無名時代があるのだから「できないこはない」と思わず力が溢れてきます。

開会式の挨拶や選手宣誓、各県の紹介のアナウンスで感じたことがあります。それは勝ち抜いてきた努力と県代表の誇りと共に、指導してくれた先生や両親、仲間、予選で戦ったライバル達に感謝の気持ちを持つことの大切さということです。勝つことは大事なことですが、練習ができる、試合に参加できる、代表選手として戦えることを支えてくれた人への感謝の気持ちを抱くことはもっと大事なことなのです。感謝の気持ちを抱くようになるのは社会人になり、一人の力ではどうにもならないことが助けてもらうことでどうにかなることを実感した時です。しかし高校総体に出場するスポーツ選手は、高校生にして人に感謝する気持ちを持っているのです。それだけでもこれから大人になる世代の中のアドバンテージとなります。感謝の気持ちを持つ人は人から好かれますし、更に助けてくれるようになります。

勝つことも大事ですが、支えてくれている人に感謝の気持ちを持つことはもっと大事なことです。戦いの中でそんな気持ちになっている出場選手の心に接し、大切なことを学ばせてもらいました。

そして素晴らしいのは大会スローガンです。「風になれ 今青春が走り出す」に躍動感を感じます。選手だけではなく、開会式や大会運営も高校生が関わっています。開会式で感じたことは、忘れていた青春という言葉です。シナリオや演奏、ダンスなどは高校生が創り上げたものだと分かるものでした。青さや未完成の何かを感じますが、それが青春だと思いました。未完成こそ青春です。まだ自分のことが見えていない時代にあって、これから自らを完成させる旅に出る。その完成に至る道程こそが青春なのです。大人になると青春を忘れてしまうのは、完成した自分が見えなくなっていることや、自分の目指す完成形を諦めてしまうからです。未完成から完成に向かうことをしなければ青春は遠いものになってしまいます。

未完成も好いものだと感じることができた開会式でした。そして若い選手に未来が見える。そんな感じがした開会式に出席できた幸運に感謝しています。