コラム
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2015/1/29
1576    聞き上手

「私は新しく担当してくれる銀行員に必ず質問する項目があります。それは銀行におけるあなたの将来の目標は何ですか、という質問です」と経営者であるN会長が話を切り出してくれました。

最近の銀行員は「課長(または支店長)になれたら良いと思います」と答える人が多いのです。以前は「頭取になります」と答える銀行員がいたのですが、最近は少なくなりました。

そんな答えをした人に対して「課長(支店長)止まりの人に私の大切なお金は預けられません。担当を変えるように本部に言ってください」と伝えます。「これは意地悪ではなく成長を促すために言う言葉です。私は若い人が好きなので、ご縁がある若い人を伸ばしてあげたいと思っています。小さな目標を掲げているとその地位に就くことも叶いません。銀行であれば頭取になるという大きな目標を持ってお客さんと接して欲しいのです。心掛けが違うと接し方が違ってきます。銀行員は担当者であっても会社の経営者と取引をするのですからスケール感が必要なのです」と続けてくれました。

そしてN会長をこれまで担当した人の中で頭取になった人がいるそうです。その銀行員は若い時から聞き上手で、相手の話や思いを引き出して、そこから貸し出しや預金の実績に結びつけていったそうです。

「聞き上手な人は相手の気持ちを良くしますから、情報も把握し易いのです」ということです。目上の人の話が聞き上手な人は将来性があるということです。何しろ目上の人の話は勉強になることばかりだからです。聞き上手な人には自然と情報を伝えたくなります。「本当に聞いてくれていると思うと、有益な情報を話したくなりますし、信用できるので情報や人脈を共有しても良いと思うものです」と言うことです。

続けて「私の人生はとても幸せな人生だったと思っています。ですからこの仕事をやってきて良かったと思っています。この仕事をしていたお陰でたくさんの素晴らしい人と出会いました。話ができました。教えをいただきました。そして人から学ぶことができました。素晴らしい出会いがあったことから仕事を通じて成長させてもらったのです。人との出会いがなければ、ここまで会社も自分も成長することはなかったと思っています。出会ったみなさんからいただくことばかりです」と話してくれました。

また「私のビルをテナントとして借りてくれて入居してくれている人がいます。店舗の前の道路を自分の敷地のように思って清掃している会社があります。そんな会社は業績を上げて事務所を拡大していきます。それに対して店舗の前の道路に落ち葉やゴミが落ちていても気付かないか、知っていても放置している会社もあります。そんな会社は業績を上げられないので早晩撤退することになります」という会社の見分け方も教えてくれました。

このように伸びる会社の見分け方という情報を聞かせてもらえました。

「私は普段は余り人と話さない性格ですし、情報も伝えないのですよ。片桐さんは聞き上手なので、最近の出来事など自分が知っていて役立つことを話したくなります」と話してくれました。聞き上手だと見てくれていることから、これまで知りえない情報も教えてもらえています。聞き上手は相手が幸せになり、自分も徳を積めます。人と出会った時は、まず聞くことから入りたいものです。