コラム
コラム
2014/10/7
1541    好きな言葉「微差は大差」再び

オリックス・バファローズの森脇浩司監督は、弱小チームをリーグ優勝争いをするチームにまで引き上げました。平成26年のペナントレースを盛り上げてくれたのは森脇監督の力によるものが多いと思います。森脇監督の力は言葉の力だと思うのですが、以前に書いたことがあるのですが、改めて読み直したところ、やはり強くなるための教訓が示されています。

「変化の大敵は固定観念と先入観。今まではこうだった≠ニ言ってみたところで、それは通用しません。人間というものはもう失うものはない≠ニ言いながら、それでも保身に走ろうとする。これを打破しない限り、強いチームに生まれ変わることはできません」。

人にとって変化は恐れですが、恐れる原因は固定観念と先入観にあります。失うものがない人はいませんから、どうしても攻めるにしても守りを確認してから入ろうとします。どんな形でも良いから一歩を踏み出すことは簡単なことではありません。決断の時に自分の思う通りに決断できる人は少ないと思います。でも決断して行動に移すこと以外に変化することはできないのです。

「微差は大差なんです。開幕して、いきなり10ゲームも離されることはありません。勝ったり負けたりしながらペナントレースは進んでいく。ところがシーズンも終盤に近づくと、気づけばもう挽回不可能な差になっているんです。
これは、どこに原因があるのか。その日だけ見れば、ほんの小さな差でも、積み重なっていけば大きな差になってしまう。雪だるまと一緒ですよ。そうならないためには現実を直視して反省し、次に向かっていい準備をするしかない。それを繰り返すことによって、チームも選手も成長できるんです」。

「微差は大差」は私の大好きな言葉です。最初の頃の微差はやがて取り返しのつかないほどの大差になっています。最初、目標は届く範囲にあります。勉強を始めた時は東京大学にでも合格できると思っています。会社に入るとトップになれると思っています。ところが少し勉強し始めて、または会社に勤め始めて少しの時間が経過すると、もうトップを走る人と少しの差がついているのです。これくらいの差であればいつでも取り戻せて追い越せると思っているのですが、その差を取り戻すことは簡単ではないのです。マラソンは最後まで同じペースで走れる人が強いように、一日を大切にして、目指すものを確認し確実に積み上げていく人が強いのです。大差になると挽回は不可能ですから、自分が大差をつけられるような今日という日を過ごしたら良いのです。

「内野の守備はバッターが打ってから動き出すようでは遅い。キャッチャーのサインを見て、ピッチャーが投げるコースや球種を踏まえ、バッターが打つ前に動き出さなければならない。わずか一歩の違いがチームを救うかどうかの境目になる。そのためには常にバッテリーに意識を集中させておく必要があるんです」。(森脇監督の記事は全て「週刊現代」2013年1月5日・12日号)

わずか一歩の違いが分かれ目になることがあります。日常も同じことで、わずかな違いが明日を違ったものにしてしまうのです。今日のズレが明日につながっています。少し頑張って進むべき方向に向かってズレを生じさせると、明日は今日よりも少しだけ前の地点にいられます。一日のスタートで一歩進んでいると、今日は有利な場所から歩くことができます。