コラム
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2014/7/31
1509    もう一歩の頑張り

偶然に三井物産の新聞広告が飛び込んできました。読売新聞(平成26年7月23日朝刊) の「挑戦と創造」というシリーズ広告です。シリーズものですが、初めて読んだのが、「覚悟の日々」というボストン・レッドソックスの上原浩治投手の広告です。

その全文を引用します。

「悔しい、と思う気持ちは、悪いものではない。いかに勝つかと考え、そのために戦う日々こそ自分自身だと覚悟すれば、ライバルがいかに強くとも、立ち向かう勇気が湧いてくるからだ。
雑草には、雑草の戦い方がある。吐きそうになるほど強烈なプレッシャーを前に、立ち向かえるプライドの根拠は、過去の栄光ではなく、今日のために、準備を積み上げてきた自分だ。
しかし、人の時間とモチベーションは、無限ではない。自分という資源を有効に使うためには、自己に向き合う精度を、高めなければならない。
僕は、毎日の練習や、試合の中で、「もう一歩」頑張れば実現できる目標をつくり、クリアするようにしてきた。
遠い未来ではなく、今日を創るのだ。それは、他人にはとても地味に見えることかもしれない。しかし、自分だけが知っている、自分だけの「挑戦」を持つのは、悪くないものだ。
誰のものでもない、自分の人生だ。だから僕は、常に挑戦し続ける」。

思い当たることがあります。能力は無限だと言われますが、決してそうではないと思うのです。もし無限の能力と無限の可能性があれば必ず夢は達成できます。しかし夢を達成できない人が多いという現実があります。その理由は、人が生涯で持てる時間は無限ではないという事実。最初に心で発芽した高いモチベーションを維持し続けることは難しく、無限に持ち続けることはできないという事実があるからです。

一気に無限の可能性に飛んでいくことはできないので、今日の仕事や行動の中で、もう一歩頑張れば実現できる目標を持ち、それを達成することが今日の自分を創っているという感覚を「挑戦と創造」は伝えてくれています。

遠い未来を今日の自分が創ることはできません。今日、自分にできることは今日を創ることだけです。

メジャーリーガーの上原浩治投手の名前を再び聞いたのは、平成25年のシーズンでした。もう過去の選手だと思っていたのですが、クローザーとして復活し、世界一のチームに欠かせない投手として名前を聞きました。「もう一歩」頑張れば実現できる目標をつくりクリアしてきたこと、今日を創るために自分だけの挑戦をしてきた結果だと思います。

地味な今日という日を創る頑張りが、試合の最後を締め括る役割を与えられ、世界一への道を切り拓いたのです。野球選手としては下り坂の年齢である上原投手のメジャーリーグでの活躍は、分野は違えども励みになるものです。

若くても、年齢を重ねていても、人生という限られた時間の中で生きていることに違いはありません。明日は多分、今日と同じように訪れるだろうけれども、実は分からないものです。今日があることは確実ですから、自分が創れる今日という日を全力で生きたいものです。