コラム
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2014/6/27
1488    動かす力

2014ワールドカップブラジル大会に出場したサムライジャパンは、残念ながら予選リーグ敗退となりました。結果的には一勝もできなかったのですが、この大会に賭けた選手のプレーに魅了され、その影にある4年間の努力、更にその背景にある子どもの時からの夢と練習が、フィールドで戦った90分間だったと感じました。選手たちは90分を戦ったのではなくて人生を賭けて戦ったのです。だから選手のプレーに魅了され、声援を送り、感動をもらったのです。昨日今日に完成したばかりのプレーだったとすれば、声援を送ることもなく感動することもなかったはずです。

そしてワールドカップに賭けた夢の凄さを思わずにいられませんでした。

夢を持ちそれを目標にして練習を続けてきたこと。人の何倍も努力をして技術を高めてきたこと。動き出した夢を適えた選手達を声援するのは、自分も同じように目標に向かって毎日を戦っているから、それとも目標を見つけられなくて迷っている人生において夢を実現させた選手達に眩しさを感じているからでしょうか。いずれにしても動いている夢、動いている姿は頼もしく、憧れるのです。

でもエネルギーを得て動いているものは、地球上においては摩擦などの抵抗に合いやがて止まる時が訪れます。ワールドカップブラジル大会を戦っている選手達にも、三試合目で、戦いそして夢の動きが止まる時が訪れました。

動いているものは永遠ではなく、いつか立ち止まる時が訪れるのです。しかし動かそうとしている意思と夢の継続、それを動かし続けるための努力と練習があることを私達は知っているのです。動いているものはやがて止まるものであり、そこでそのまま止まってしまうのか、それとも次の目標に向かって再び動き出そうとするのか。続きが待っているドラマに私達は期待するのです。

この大会での予選敗退を批判することや非難することは適切ではありません。敗因を探ることは次に勝つために必要なことですが、懸命に戦ってきた選手や監督を批判することは、持ち続けた夢や続けてきた努力を批判することですから、動くことを始めていない者がすべきことではありません。止まっているものを動かすエネルギーはとても大きいのです。止まったままの夢、止まったままの行動力、止まったまま発揮できない勇気。心のエネルギーが不足しているのです。

しかも大きな夢は重量があるので、それを動かす心の力も重量級のものが必要です。動かす力とは心のエネルギーであり、そのエネルギーを持ち続けることは容易ではないことを私達は知っています。やろうと思えば動くのですが、動かし続けるには心のエネルギーが必要で、どれだけ動かし続けてもやがて止まる時が訪れることも知っているのです。

夢を動かし続ける力は、これまで以上に頑張らなければ心のエネルギーを供給できないから、私達は「動かしても止まるのだからやっても仕方ない」と正当と思えるような理由をつけて、心にエネルギーを必要としない方向で自分を納得させようとするのです。その方が楽だからです。でも楽をして何も残せないよりも、楽をして批判されないよりも、夢を動かすための努力を続けて、周囲の方から声援というエネルギーをいただき、周囲の方に動かす力の偉大さを受け取ってもらう方が優れた生き方だと思うのです。