コラム
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2014/5/30
1468    北京で学ぶ5

北京の大学に留学している学生と話した時のことです。留学を決意してから北京に渡るまでに自国で勉強をしています。北京での勉強は中国語で進められますから、中国語の基本は身に付けてからでないと留学しても成果は上がりません。

事前学習に掛けた時間を聞いて納得することがありました。留学を決め手から訪中するまでの半年間は、毎日4時間から5時間は中国語の勉強をしたそうです。それを半年休むことなく続けてきました。一日休むと元に戻るようで不安になるので毎日勉強を続けてきたそうです。多くの学生が中国語の勉強に費やした時間は共通のものでした。一日5時間を半年続けると900時間となります。「月曜日から金曜日までは4時間から5時間は勉強していました。土曜日と日曜日はもっと」このように勉強時間にはプラスアルファがありますから、概算で約1,000時間は事前勉強の時間として費やしていることが分かります。

1,000時間の法則というものがあります。一つのことを1,000時間続けるとその分野の知識を得られるというものです。大多数の学生にとって中国語を勉強するのは初めての経験だと思います。初めての経験でも1,000時間勉強を続けることによって、自分のモノにできるのです。そんな時間を費やしてきた学生だからこそ、北京の一流大学で学ぶことができるのです。学生達の勉強のスタンスは、初心者でも1,000時間一つのことに取り組むと上級者の仲間入りができることを示してくれています。

初めてのことを継続して勉強できる理由はたったひとつ。自分で決めたからです。「自分で決めたから逃げられないのです。自分で決められない人は、いざという時に逃げる人です」という話を聞かせてもらいました。

確かに、自分で決めない人がいますが、それは自分で責任を取る覚悟がないことを示しています。決められない人は、自分が決めなければ責任を取らなくて良いことを知っているのです。逃げることを考えている人は、決して1,000時間もの時間を費やすことはしません。何故なら勉強することを決めていない人は、辛いことがあれば最後は逃げようと考えています。だから最初から1,000時間という時間を真剣に一つのことに使わないのです。

北京に留学している学生達は、自分で留学することを決め、事前学習として1000時間もの時間を勉強に費やしています。勉強するという覚悟と1,000時間が留学するために必要なものです。

それでも実際に授業に出ると聞き取れないことや、質問に答えられないことがあるそうです。そのため最初の一週間は、怖くて寮から出ることさえできなかったと言います。それまでは守られた環境の中で生活をしていたのですが、北京での一人暮らしでは自分から行動し、話し掛けなければ生きていけないと感じたそうです。留学して三ヶ月から半年が経過している学生は、人ができない努力を続けていることと不安を克服したことで、表情は自信に満ちています。自分で決めたことをやり続けている自信は、人を大きく成長させてくれます。

人は誰でも自分で決めた道を歩きたいと思いますが、そこにはしっかりと時間を掛けて準備することと克服すべきことが待ち受けています。待ち受けている時間の長さと、決めることへの不安が覚悟を鈍らせるのです。でも最初は誰でも初心者ですから、1ページから捲り始めていますし、最初の1時間から始めているのです。