コラム
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2014/5/19
1462    ミカンの花の香り

愛媛県松山市でとても素敵な感動体験がありました。議会報告会をしてもらった愛媛県議会玉井議員から「愛媛県には愛がある」という言葉を聞かせてもらいましたが、来てくれた人に対する愛媛県愛を感じることができました。愛という文字を毎日のように見ている県民の皆さんの心にも愛が宿っているように感じます。では素敵な感動体験を紹介します。

松山市に一泊二日の研修に来て帰路についた時の出来事です。宿泊した大和屋旅館からタクシーに乗車し松山空港まで向かいました。乗車時間は約30分だと知らせてくれたこと、官庁街を走行することから、運転手さんが観光案内などをしながら走ってくれました。観光案内だけだと珍しくありませんが、それだけではなくお客さんへのおもてなしの心が伝わる出来事がありました。

それは目的地である松山空港が近づいて来た時に、タクシーの窓を開けて香りを感じさせてくれたことです。

「お客さん、ここに来るとミカンの花の香りがしますから感じてみて下さい」と話してから窓を開けてくれたのです。その瞬間、甘いミカンの花の香りが車内に充満しました。ミカンの花の香りを楽しむことが、「こんなに幸せを満たしてくれるものなのか」と思いました。甘いミカンの花の香りは幸せ感があり、一気に松山市を好きにさせてくれるものでした。素敵な香りを提供してくれたタクシーは初めてです。これまでの中で最高のサービスに数えられる出来事でした。

そして空港に到着する寸前に、伊予ミカンをいただきました。「このミカンを食べてみて下さい。美味しいから」といっていただいたのですが、香りが良くて、本当に甘くて美味しいのです。タクシーの中でいただいたミカンを食べる経験も松山市で初めて体験したことです。このように言ってしまうと、誰でも簡単にできるおもてなしのように思いますが、真似のできないおもてなしだと思います。明るい人柄やそこに至るまでの会話の内容、そして快適な運転があってミカンの香りに辿り着くのです。感動までのストーリーがあるから素敵なのです。

空港までの30分の間にタクシーの中で味わった感動体験の余韻に浸り飛行機に乗り込むことになりました。視察の最後に観光都市としてお客さんをお迎えする精神を学べたからです。「おもてなしの方法」や「リピーターになってもらうためには」という研修がありますが、おもてなしはパターン化できるものではありません。人によっておもてなしの方法は違いますし、現場での咄嗟の行動や、温かい会話がおもてなしにつながるのです。演出のプロでない限り、パターン化されたものは感動につながることは少ないと思います。会話の中から生み出されるもてなしの心が、お客さんの感動につながるのです。

素敵な30分を過ごさせてくれた伊予鉄タクシーのN運転手に心から感謝申し上げます。松山市を好きになって帰ることができるのはN運転手の力です。旅館から松山空港まで同乗した同僚議員の二人も同じことを感じたことだと思います。ミカンの花の香りをプレゼントしてくれた出来事は、これまで体験した観光地のおもてなしの中で最高レベルのものです。一日が幸せな香りに包まれたことはいうまでもありません。