コラム
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2014/5/15
1461    人生のストーリー

ムーン・リバー。古い歌ですがムービーで「ティファニーで朝食を」観ると、とてもよい曲です。ニューヨークのティファニー本店が大好きな場所だと思っているオ―ドリー・ヘップバーンの楽しい映画です。ティファニーのある五番街で朝食を食べられる身分になりたいと思う主人公の気持ちをタイトルにしたものだそうです。

人は自分の置かれた現状にもがき苦しみ、そこから抜け出そうと背伸びをします。でも普通にしているだけでは、そこから抜け出すことは簡単ではありません。一気に現在から羽ばたこうとすると無理が生じることになります。そこで自分を支えてくれている人の気持ちを知らないで飛び立とうとするのです。でも現在の自分を否定して得られるものはありません。

現在を生きる以外に生きる場所はありませんから、今の延長線上に存在している未来を右上の位置に見据えてそこに向かうことです。現在の自分から一気に飛び越えて高い未来に到達することはできないのです。でも現在から未来を見ようとする気持ちがムーン・リバーで表現されています。人生の大きさと悩み、見えない将来の不安、そしてそこから抜け出そうと背伸びする姿は年齢を重ねた今だからこそ理解できます。いつの間にか人生の物語を楽しいと思えるようになっています。

映画の中の主人公は、いつも悩み苦しみながら成長を遂げます。人はアップダウンのらせん階段を登るように成長していくものであって、一気に成長することはありません。登り道は負荷がかかり苦しくて、下る道は平坦な道よりも負担がかかります。慣れた歩き易い平坦な道は楽ですが、同じ光景の中からは新しいストーリーは生まれません。苦しいけれどもアップダウンがあるから活き活きとした人生のストーリーが誕生するのです。

でも日常において新しいストーリーを創り出すことは簡単なことではないと思うものです。新しいストーリーは心の変化が創り出してくれます。同じものを楽しいと感じる感性。同じものを食べていても美味しいと感じること。今の時間を今の瞬間に楽しむこと。そんな心を持つことで新しいストーリーを創り出してくれます。いつもの日常をストーリーにするのは心次第だと思うのです。輝く今日も、弾む心も、きらめく明日も、全て現在の心次第なのです。恐らく主人公の毎日は何も変わっていないと思うけれど、心の持ち方が変わっているからそれまでと違うストーリーの中で暮らしていると思います。

今から抜け出すことは簡単ではないけれど心を変えるだけでストーリーは変わりますから、今の街も暮らしも変わってキラキラ輝いていきます。人は支えてくれる人によって輝かされています。輝くためには単発で終わることなく、それを続けることが大切なのです。

映画もドラマも主人公には次々と困難が襲い掛かります。でも主人公は逃げることなくそんな困難に立ち向かいます。無理な状況にあると思っていても、主人公は立ち向かうことで困難を打破していきます。そんなストーリーの中の主人公を観客は応援し感動するのです。

映画もドラマも最後は主人公が勝つのがストーリーです。映画やドラマと同じように人生のストーリーの結末も、最後には勝つという結末を配置するのが自分の果すべき役割です。

自分で描く人生のストーリーは、度重なる困難を克服して最後には勝つことを結末にすべきです。「ティファニーで朝食を」は、そんな人生のストーリーの大切を教えてくれるものです。自分で書く人生のストーリーの結末は勝つということ以外にありません。