コラム
コラム
2014/3/10
1424    本番の舞台

みんな自分が目指す本番に向けて生きている。そんなことを感じています。本番という舞台があるから今日の練習を頑張れます。本番という舞台が用意されているから今日の仕事を頑張れるのです。

和歌山県議会は一年に4回開会されています。本会議で一般質問に立てる機会は一年に4回あります。任期が四年ですからその間に16回、本会議の壇上に立てる機会があることになります。オリンピックと比べると本番の機会は多いのですが、それでも一年でたった4回の機会があるだけです。その本番の舞台に備えて日々の活動を行っているのです。日々の活動を怠ると皆さんの意見の中から県政の課題は発見できませんから、本会議の舞台に立つことはできません。県民の皆さんを代表して一般質問を行いますから、皆さんの意見を代表していないものは本会議に相応しくありません。極端に言うなら、一年で4回の本番に向かって地方議員の政治活動があるわけです。

可能な限り質問内容や表現を完全に仕上げて行きたいと思うのですが、思う通りに表現できないこともあります。どれだけ準備をしていても「こう表現すれば良かった」だとか「もう少し追求すれば良かった」など終えてから思うことがあります。

やはり本番の舞台は緊張がありますし、準備していることを全て発揮できるほど思うように進まないものなのです。それでも、より良いこの次を目指して本番に向かうのです。

さて、お付き合いをさせてもらっている素敵な書道家と音楽家の方がいます。プロ意識を持って芸術活動をしている二人にとっても、本番は手強い相手だそうです。

書道家Aさんは、毎日の練習で10枚ほど、一年で3,000枚ほど書いています。気に入った文字が書けるまで、毎日同じ字を書き続けるのだそうです。精神統一をして書く文字は、1枚書くのも大変な作業となります。

たった1枚の出展作品を仕上げるために、人知れず何千枚も書き続けているのです。それでも完璧な作品に仕上げられるかどうか分からないのですから、作品展とは凄い力が必要な舞台なのです。完璧なものを求め、そこに到達する過程の先にあるのが作品展という舞台だからです。そんな本番という目指すべきものがあるから、毎年、作品を創作することができるのです。

音楽家Bさんも同じです。彼女は、一曲仕上げるのにまず歌詞をしっかり読んでその状況や気持ちを考えます。発声練習して、初めはメロディやリズムを正確に歌って、それから再構築して自分らしく歌えるように練習していきます。

それでも残念なことに、音楽もオリンピックと同じで、リハーサルでどれだけ上手く歌えても本番でコケることも多々あるそうです。どれだけ練習しても本番は緊張するものなので、練習通りに行かないものなのです。

「お客さんに感動を与えるなんて、そんな大それたことは思った事はありませんが、一人でも「楽しかった」って思ってもらえたら嬉しいです」と話してくれました。でも完璧でなくても、お客さんに感動してもらえるように歌う姿に感動するお客さんもいるのです。

誰にでも本番の舞台は用意されていますから、そこに向かって練習をすることや原稿を用意すること、作品を仕上げることに生きている意味があるのです。