コラム
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2014/2/17
1409    必要な無駄

最近は仕事も人間関係も合理的になりすぎて、無駄だと思うことを割愛し過ぎているようです。でも無駄なことはそれほど多くないようです。

無駄だと思うことを省いてみると、おかしな光景になります。

挨拶。朝の挨拶は人間関係の基本です。職場で挨拶を交わさなければ人間関係はおかしくなります。職場に入った時、「おはようございます」と挨拶をすれば、「おはようございます」と返ってくると気持ちが良いものです。

ところが、「おはようございます」と挨拶をしても「・・・」だったら違和感があります。挨拶を交わさないで、いきなり仕事の話に入ると気持ちが乗りません。挨拶は無駄のように思っても、挨拶が信頼関係を築いているのです。信頼関係が成立しているから仕事の話に入れるもので、信頼関係が成立していない人との仕事話は進展しません。

コピー。会議や打ち合わせで使用するコピーを取るのは新人や若い人の仕事だと思っています。コピーをとるのは仕事ではないと思うものですが無駄ではありません。コピーを取る時にその資料を見れば、どんな議論が交わされているのか分かります。資料のまとめ方や考え方などは勉強になります。やがて自分が資料を作る立場になれば、出来の良い資料は参考になります。無駄だと思っているコピーは無駄な仕事ではありません。何よりも必要部数が揃わなければ会議ができないときがあります。

雑談。メールなどのツールは便利で、コミュニケーションの手段として有効です。仕事は一斉メールを活用すれば時間短縮になります。隣の席の人に対してもメールで情報を周知することもありますから、最近は雑談をする機会が減少しています。

典型的な無駄とも思える雑談ですが、実はコミュニケーションの手段として無駄なことではないようです。雑談はお互いの距離を縮めることや、関心を持ってくれていると安心感を与えてくれます。

雑談力という言葉を聞きますが、必要がないように思える雑談が職場の垣根を取り払い、職場の雰囲気を変えてくれることがあります。雑談が飛び交うことのない職場の空気は固くなります。

時々、会議を終えた後に懇親会を開催することがありますが、会議の中で出た意見よりも、懇親会で交わされる雑談の中に答えやキーワードがある場合は珍しくありません。雑談ができる関係は信頼関係のある関係とも言えますから、雑談から生み出された意見を会議録に加えることで、仕事の幅が生まれるように思います。雑談は無駄なものではなくて、人間関係を構築するもの。職場の空気を和らげるもの。そしてアイデアの生まれるきっかけにもなります。

無駄だと思うことが決して無駄ではないと思うと、どんどん発想や活動の幅が広がって行きます。必要な無駄と無駄の無駄があると聞くことがあります。必要な無駄は無駄には終わりません。そして無駄な無駄だと思っていても、考え方ひとつでそれを必要な無駄に変えることも可能です。

挨拶、雑談、そして今直ぐ必要と思わない人脈などは無駄なものではなくて、これから自分が出会うことに関して、どちらかと言うと必要なものです。