コラム
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2013/12/5
1373    今この時

五十嵐貴久氏の「YOU」を読むとダンスの世界の厳しさが分かります。華やかで誰にでも踊れそうなダンスですが、舞台やテレビに登場できるのは、厳しい練習を耐え抜いて、そしてライバルに勝ち抜いて、頂点を極めた人だけがデビューできる世界なのです。簡単なように見えて、実に厳しい世界がダンスの世界なのです。デビューを目指す若い練習生が言う台詞があります。

「他のチームの倍、練習するしかないと思うんだよね」。

「やれることはやっておこうってこと」。

「目指すのがトップだっていうなら、その通りだろうね」。

「勝てるか勝てないかなんて、やってみなければわからない。だけどこれだけは確実に言える。何の努力もしなければ絶対に負けるってことさ」。

こんな環境の中で競い合うことが、「一生懸命にやっている人たちの中にいれば、どうしたってそうなってくるものだ」となります。頑張っている集団の中にいれば、自然と自分も頑張ることが普通になってきます。人間は環境に支配される生き物だからです。

ダンスはリアルの世界でも厳しいと思います。情熱大陸の中で大島優子のインタビューがありました。

「同じ努力をすれば誰でも大島優子になれますか」。

「なれますね」。そして続く台詞が凄いのです。

「但し、同じ努力は簡単には出来ないと思うけど」。

これまでやってきた練習と努力の凄さが想像できます。簡単に登ってきた訳ではない。そんな力を感じる自信に溢れた台詞です。20歳そこそこの人の台詞ですが、既に芸能界の頂点を極めた人だから発言できる凄い台詞です。

常識的な範疇で、どんなことでも「努力をすればできると思います」が、それは分かっていても「なかなか出来ないこと」なのです。分かっていることと出来ることは全く違います。

分かっていても結果は出せませんが、それが出来ると結果が出せる可能性があるからです。

それが出来ても結果が出るかどうかは分かりません。しかしやらなければ結果はでないことは明白です。練習をやっても、やっても、努力を重ねても、重ねても、結果はでないことが多いのです。それでも練習と努力を続けることが、結果を出せる可能性を残せるということです。そして疲れていても、落ち込んでいても、諦めないでその努力を続けることは、なかなか出来ないことなのです。

「これまで何度も無理だと思った」。そして「与えられたこの場所にいられることに感謝している」という台詞もありました。何度も無理だと思ったけれど、それを乗り越えてきたのは人並みはずれた努力以外にありません。だからこの場所に立っていられることに感謝できるのです。

そして台詞は続きます。「忙しいね。でもいつか忙しくなくなるから。人生で・・」。いつまでこの場所にいられる訳じゃないから、今の忙しさにも感謝すること。いつまでもここにいられることはない。誰にとってもそれが現実ですから、今立っているこの時、この場所に感謝して、今この時に努力したいものです。