コラム
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2013/11/27
1368    一歩ずつ進んでいる感覚

「仕事が前進していると感じられる」という話がありました。ひとつの電話の打ち合わせで一歩仕事が前進していると感じられるという話を聞かせてもらいました。電話や打ち合わせをしても仕事が進まないと感じる時があります。行ったり来たりの議論や、何を目指しているのか分からない議論、そして報告と検討課題を一緒にしていることから議論が進まない展開に陥ることがあります。

しかし一本の電話で、今日決めるべきことや次回の話し合いの時までに調査しておくこと、資料の整理をしておくことを明確にしておけば仕事は前に進んでいます。それが「一本の電話で仕事が前に進んでいると感じられる」という言葉につながっているのです。

決められない政治という流行言葉がありましたが、決められないのは政治だけではなくて、企業や組織の中にも多数存在しています。決められない場合もありますし、決めないで先送りにする方が責任を回避できることから、決めないという仕事もあります。でも決めなければ後の人が困ることになりますし、会社としての信頼が揺らぐことにもなります。

決められないのは政治や大企業や大組織などに見られる現象です。組織が大きくなると決められなくても、一部の部門の仕事に限定されるものなので問題は少ないからです。そして経営と現場が乖離している会社や組織は決められないことがあります。決められないことによる利益の減少や、顧客を失うことを直接実感できないからです。

ベンチャー系の企業や小規模の会社において、決められないことは即、利益の減少と仕事を失うことにつながりますから、一つずつでもそれぞれの役割を決め、課題解決に向かう姿勢を取っています。それは仕事を小さな単位に落とし込んでいることから前進させることが可能になっているように思います。

「専務に説明するプレゼン資料を作成すること」と上司から指示されても、何をどうするか分からないのです。

しかし一歩前進させる仕事の打ち合わせとは次のような内容になるかなと思います。

「研修の対象は新入社員。今回は社会人としての接遇マナーの研修依頼です。クライアントの求めているものは、受付の第一印象を良くするというものです。前回の研修資料はここにあります。今回必要だと思う箇所を抜き出して明日までにまとめておいて下さい」。

その次の日の打ち合わせでは、「まとめてくれた資料に基づいてそれを研修するために、講師のレベルをクライアントの業界が求める水準に引き上げ統一します。そのため講師を対象とした研修会を開催します。研修回数は4回、土日を二週続けます。そのための講師を依頼しておいて下さい」。

ひとつずつ仕事が進んでいることが実感できる内容になっていると思います。一人が短時間で処理できないような大きな単位の仕事の指示をするのではなくて、これならできると思える程度の小さな単位で、具体的な行動を促す指示をしています。これが仕事を進めるために必要なことです。仕事は早い目に着手をして、時間的余裕を持って対応が可能な程度の小さな単位で進めること。そして小さくても具体的な行動を求めるような打ち合わせにすべきです。一気に大きな仕事をやり遂げることはできませんから、仕事は小さな単位で進められるように区切って行動することで進んでいる感覚が得られます。