コラム
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2013/10/29
1351    強いベクトル

宮本鍼灸指圧院院長の宮本敏企さんの講演を聞く機会がありました。元気の出る内容だったので皆さんと共有したいと思います。

皆さんで考えてください。一人でロープを引っ張り、2トントラックを動かす方法について考えるという課題が出されました。果たしてそれほど力のない人でも動かすことはできるのでしょうか。その答えは意外なことでした。

正解は、首にタイヤを掛けてトラックのロープを引っ張ることだそうです。首に首飾りのようにタイヤを通します。そうするとその重みで足が大地に踏ん張れることになり、大地を踏ん張る力が前に動く力になるそうです。これは頑張ればできるや根性を出すなどの精神論ではなくて物理の法則です。物理の法則に基づいて2トントラックを引っ張ることができるのです。自分が試した訳ではありませんが、物理の法則を信じることによって強い力が発揮できるとすれば、否定するよりも信じる方が人生は楽しいと思います。

さてこのケースでは、タイヤを首に掛けることによってベクトルの矢印が上から下に向かいます。その分、立っている位置から前方に向かってベクトルの矢印が伸びることになります。上から下に強い力が掛かる分だけその位置から前に向いて力が入るのです。

繰り返しますが精神論で動かせるのではなくて、物理の法則に基づいて動かす力を生み出しているのです。

人生も物理の法則と同じです。重い負荷が掛かるほど、前に向いて歩く力が強くなります。仕事の依頼や頼み事が多くて大変だと思う場合がありますが、それによって大きな力のベクトルが自分に圧し掛かりかかります。その大きなベクトルの分だけ今の位置から前に向いて歩く力が強くなるのです。これは物理の法則であって絶対的な力になると信じるべきことです。たくさんの仕事を引き受けたり、困難な仕事を引き受けたりすると、それと同じだけ前に向かう力が大きくなるのです。

前に進む強い力を得たいなら、大きな仕事を引き受けることです。責任のある仕事を引き受けるべきです。そしてたくさんの仕事を引き受けるべきです。抱えた荷物と同じ分だけ前に進む力が強くなります。仕事をする上において、人から依頼された場合の対処の仕方として、とても参考になります。強い負荷が掛かるほど強い推進力を持つことができるのです。しかも自分の力を増すことなく、相手の力を受け取ることによって前に行く力が増加するのですから有り難いことです。

たくさんの依頼や仕事が増えて、その重みに押し潰されそうになる時があります。しかし依頼を受けるということは、その重みに耐えられると自分で判断していることなのです。もうこれ以上抱えることは無理だと自分が判断したなら、仕事の依頼を受けることはしない筈です。負荷が増えたとしても、それで自分の立ち位置に強いベクトルが掛かることになります。太くて長い矢印が下に伸びているのであれば、それと同等の太くて長いベクトルが自分から前に向いて伸びています。その矢印を見えるようにしたいと思います。自分の前に存在している見えないものが見えるように感じましょう。その強い力が自分を前に向かわせる推進力となります。上からの圧力の掛かる強い力は、自分で前に進める強い力なのです。

上からのベクトルを感じることによって、前に向かう力が発生するのです。