コラム
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2013/10/18
1345    日本人の価値観

サザンオールスターズの「ピースとハイライト」を聴きながら新宮市まで移動したことがあります。片道3時間の道中、この曲を中心にたくさんの曲を聴きました。収録されていたのは「勝手にシンドバット」、「いとしのエリー」、「真夏の果実」、「涙のキッス」などサザンを代表するというより時代を代表する曲が流れてきました。時代を感じて感動し続けた3時間の道中でした。

新曲の「ピースとハイライト」は2013年の香りがして、とても良いのです。1980年代からサザンはヒット曲を送り出していますが、時代の色を感じることができます。1980年代からバンドをやっていた友人は「サザンは最初から「いとしのエリー」ができていたと思うよ」と話していたことを思い出します。「最初からバラードではインパクトがないので「勝手にシンドバット」や「C調言葉に御用心」に続いて出すタイミングを計っていたと思う」という言葉の通り当時の「いとしのエリー」の大ヒットで時代を代表するバンドになったように思います。

あれから40年、時代の音楽を作り出してきたスーパーバンドです。こうしてデビュー曲から聴いても新鮮でもあり、あの時代を思い出させてくれます。

そして「ピースとハイライト」です。歴史認識や現代の問題を超えて将来への希望を感じさせてくれる歌です。ここには日本人らしさがあります。

この歌詞を聴くと明治天皇の話を思い出します。明治天皇がロシア政府と樺太の領土問題を話し合うために外務大臣(当時の役職名は外務大臣ではありませんでしたが)を派遣する時、言い伝えた言葉があります。

「両国全体が良くなるように解決してくるように」という役割を伝えました。決して日本のためとは言わなかったのです。本来であれば樺太は日本の領土であると主張すべきだと思いますが、明治天皇は日本人としての誇りと名誉を持ち合わせた素晴らしい人格者だったことをうかがい知ることができます。

派遣された外務大臣はロシアとの交渉において、樺太の真ん中に国境線を引くことでこの問題の解決を図りました。確かに、私が小学校の時の社会の教科書には樺太の真ん中に線が引かれていました。領土問題を超えたところで国際問題を解決したのが明治天皇でした。

その明治天皇の心を解説してもらったことがあります。それは「領土や資金援助などは小さな問題であり、日本が世界に果たす役割は争わない世界を作ることである。そのために日本とロシアの両国が争わないで解決できる方法を探るべきだと考えたと思います。もっと高いレベルで国際問題を見ていたと思いますし、日本人の精神はもっと高いところにあることを伝えています。お金や領土を奪いに来るといった卑しくて貧しい発想を日本人は持つべきではないことを伝えてくれています」。

日本人は世界を変える力を持った民族だと思います。相手に対する感謝の気持ち。自然に畏怖し神が宿ると崇拝する精神。争いよりも調和を好むことなど、世界の価値観と違う精神レベルを持ち保っています。

21世紀は日本人の持つ価値観を世界に広めるべき時代です。サザンオールスターズの「ピースとハイライト」はそんなメッセージを伝えてくれているように感じます。