コラム
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2013/10/17
1344    If Ever I See You Again

1978年、今では古い映画「If Ever I See You Again」。とても素敵な映画でお気に入りです。残念ながら当時はそれほどヒットしなかったためか、現在はビデオもDVDもありません。1978年の映画ですが、日本ではその翌年辺りに封切りされたと記憶しています。つまり僕が十代か二十歳の時に観たことになります。

映画も素敵ですが挿入歌はもっと素敵です。映画のタイトルにもなっている主題歌「If Ever I See You Again」そして大空彼方まで飛んで行くような「California」、映画の印象的な場面の挿入歌である「Come share my love」などは、映画を観ていなくても名曲だと感じるものです。

ジョー・ブルックスが演じる主人公は業界ではそれなりに売れているけれど、食べるために気の乗らない仕事の依頼に応えている音楽家です。コマーシャルなどの曲を作り自分の夢とは違うけれど音楽で生活しています。映画の設定は30歳代の音楽家だったような気がします。夢を追いかけて現実という壁に阻まれて叶わない主人公を見て、「それでも頑張れ」と思いました。

だから自分は30歳代になるまでに夢は叶えなければと感じたようにも思います。30歳代は若くもなく社会で地位を占められる年齢ではなく、氣を入れなければ夢も消えようとする年齢であることを知るのは後になってからです。

さて映画の場面で、主人公が音楽スタジオに愛しいジェニファーを招いてタクトを振るシーンは、どんな映画にも勝る名場面です。身振り、表情、そしてオーケストラで演奏している「If Ever I See You Again」が流れています。「Great」、「Beautiful Song」と大人が交わす会話はとても格好の良いシーンです。

そんな30歳代を過ぎてしまった今。久し振りにYou Tubeの映画の中の主人公たちは、やはり大人だと思うのです。1970年代に30歳を生きた大人達は時代と共に生きて凄いと思ってしまいます。

諦められない夢、出会いと別れ、それでも生きている人生、そして最後はハッピーエンドで締め括ります。そして今、主人公を演じたジョー・ブルックスが亡くなっていることを知りました。1978年のこの映画の後は作品を作っていないようです。

今この映画を観ると、映像と音楽に自分の全てを注ぎ込んで燃え尽きてしまったように感じます。特撮もなければ何一つスーパーマン的な活躍もないのですが、ありふれた日常のシーンに人生の幸せが全て詰まっていると教えてくれているようです。

私達の日常生活と違うのは背後に音楽があるかどうかです。シーンに応じた音楽があれば、当たり前の日常がこの映画のようなシーンに仕上がるような気がします。そして自分の人生流れる音楽とは自分の心の中にあるものです。

嬉しいことを素直に嬉しいと感じる心。今が幸せだと気付ける心。一緒にいてくれる人への感謝の気持ちを抱けること。この時を大事にする心。そんな心が現実のシーンに音楽を流してくれるように感じます。

そう言えばこの映画のサントラ盤は実家に残っていると思います。二十歳の頃に聴いた音を今一度聴いてみたくなりました。生きてきた足跡を感じられると嬉しいのですが。