コラム
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2013/10/21
1346    定年退職の日

Mさんが長年の会社勤めを終え定年退職の日を迎えました。定年の日であることを知ったのはMさんの定年退職の午後でした。「今日は会社の幹部から定年退職の辞令をもらってきた」という話を聞いて特別一日であることを知りました。その日の夕方からはMさんの自宅で議会報告会を予定していたので、定年に相応しい内容にしたいと思いました。そこで急遽、和歌山市に戻っていたチュリスタの二人に来てもらうことになり、しかも曲を歌ってもらうことにしました。本日はMさんの定年退職の特別な一日であることを伝え、お祝いの選曲は二人に任せました。

午後7時からの議会報告会の途中で二人が到着してくれました。Mさんのお祝いのために歌ってくれたのは「栄光の架け橋」でした。アテネオリンピックの時に日本の某放送局でオリンピックのテーマ曲として使用されていた曲です。マイクもなしにギター演奏で熱唱してくれました。

本当に感動する瞬間でした。定年退職は寂しく感じると思いますが、議会報告会に集まった皆さんからの祝福と歌のプレゼントで、今日が人生の中でも最高の一日の一つになってくれたと思います。

きっと歌詞にあるように、悔しくて眠れない日もあったと思いますし、不安との戦いの日もあったと思います。それでも支えてくれる人がいたから会社を勤め上げ、今日の特別の日を迎えられたことだと思います。一生に一度の定年退職の日に議会報告会を設定していたこと、議会報告会を開催する自宅でプロの歌手による演奏が行えたことは、特別な一日に相応しいとても素敵な出来事です。しかも人生を振り返れるような曲、「栄光の架け橋」を生演奏で聴くことができたのですから、Mさんでなくても感動しました。

報告会終了後に「何だか寂しくなっていた定年が、本当に楽しい一日になりました」とMさんの奥さんからメッセージをいただくことになりました。寂しいと感じる一日が嬉しい一日になったことは、今日の意味を変えてくれたと思います。今日で終わりではなくて、今日までの人生を振り返り良い人生だったと思い返し、そして明日から再び人生を生きること。そんな気持ちにさせてくれる演奏であり内容でした。

60歳を迎えて会社を離れることは寂しいことだと思います。しかし長年一つの会社で勤められて、祝福されながら定年の日を迎えられることは幸せなことだと思います。

どんなことがあっても人生は素晴らしいと祝福するような歌の演奏がありました。栄光に満ちていてもいなくても、こうして集まったみんなと話し合える人生は素敵だと思います。

Mさんは「とても嬉しい特別な一日になりました。片桐さんの毎日は変化に富んでいて、こんな特別な毎日を過ごしているのでしょう」と尋ねられましたが、そんなことはありません。当たり前の日を当たり前のように、しかしそれを当たり前と思わないで暮らしています。

ただ一日にひとつはクライマックスを作るようにしていますし、幸せな出来事がそうでない出来事よりも少しだけでも上回るように心掛けています。嫌なことや寂しいことを上回る幸せを感じるように、今日の一日を仕上げているだけです。

本当に特別な一日は限られた時にだけ訪れます。それ以外の毎日は、当たり前のような一日が続くだけです。その日を特別な日に近づけることで、毎日が幸せな一日になります。