コラム
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2013/10/3
1337    Right now

内なる声を聞くということは、自分の心の声を聞くことだと思います。目を閉じて講師の与えてくれたテーマに集中しようとしても、直ぐに違うことを考え始めることがあります。

目を閉じて考えることは、自分がその時に関心を持っていることです。

講師が「自分が今目指していることは何か考えてみて下さい」とテーマを与えてくれたとします。考える時間において最初はそのテーマに向き合いますが、暫くすると雑念が沸き起こります。

「今日の天気予報は夕方から雨だったけれど、帰りは大丈夫かな」。

「今日は何時に終わるのだろう。明日は早朝セミナーに参加するので早く終わってくれないかな」。

「今週の予定の中で大事な案件はどんなことだったかな」など、テーマに関係のない心の声が聞こえ始めてくるのです。雑念と総称されるものは、その場に必要のないことばかりです。その場に必要のないことが心の大部分を支配してしまうと、今ここにある大切な時間、そしてテーマに真剣に向き合うことができなくなります。

『かつてハリウッド俳優のリチャード・ギア氏がダライ・ラマ法王と会った時、「あなたが生涯の中でいつが一番幸福でしたか」という質問をしたそうです。法王の答えは「Right now」だったそうです。』(*)

「Right now」とは「今が一番幸福です」という感覚の答えです。どんな時も今が一番幸福な時間だと感じることが幸福の条件です。過去のあの頃が良かっただとか、将来、幸福が訪れてくれると想像することも楽しいのですが、今に幸福を感じていなければ、中々感じられないものとなります。何故なら、幸福は自分の心の持ち方によるからです。今を幸福と感じる心を持っていなければ、どんな時も幸福と感じることはないからです。自分で自分を幸福と感じる心を持ち合わせていないのですから。

私達は「今という瞬間を幸福になるための手段にしていることが多いから」という意見があるように、今という時は、将来幸福になるための目的に過ぎないと思っています。

今は辛抱しておけば将来は幸福に満ち溢れると思っているのです。しかし、「今を未来の手段にしている限り真に幸福になること」はできないのです。ですから「今という尊い瞬間を目的というゴールにすることができれば、私達の幸福感は飛躍的に増大する」と言います。

内ら聞こえてくる声の中から雑念を消すことが出来れば、今の瞬間に集中していることになり、それは今という瞬間を生きている幸福な時となるのです。

講演会に参加している時は、その内容に集中することです。講演会の最中に帰りの天気のことを思っても、どうにもならないことです。雨が降っていたらその対応をすれば良いことですし、降らなければ取り越し苦労となり、講演会の内容を十分に学べないだけ損したことになります。

今のことに集中して、自分の心から発せられる内なる声を聞くこと。それが今を生きられている幸福なのです。当たり前のことに感謝できる心を持つことが、今を幸福にしてくれます。「Right now」。「今が一番幸せな時です」と自分で内なる声に聞かせてみると、今すぐ幸福になることができます。

*渡邊隆氏の「ライト・ナウの世界」を引用しました。