コラム
コラム
2013/9/24
1330    イチローに学ぶ継続する力

ニューヨーク・ヤンキースのイチロー選手が日米通算4,000本安打を記録したことの記事はたくさんあります。記録を称えることは勿論ですが、そこに至るまでにあったものは継続する力のようです。

帝京大学経済学部経営学科の大坪正則教授のフジサンケイビジネスアイのコラム(平成25年8月28日、14面)から一部引用します。

「起床時間、朝のカレーライスを含む一日のメニュー、試合開始4時間前の球場入り、入念なストレッチ運動、試合後の食事時の缶ビール1本、等々、そのリズムは試合が有る無しに関らず365日変わらず、そしてそれが20年近く続いている。その結果、強靭に体を維持しているのだ。例えば、今年の自主トレで腹筋、背筋を1日1万回に設定してそれをやってのけたという。彼の意志の強さ、頑固さ、執着力には畏怖の念を超えて神々強い怖さを感じる。〜中略〜我々の生活を振り返ってみる。サラリーマンは絶対にイチロー選手のような生き方はできない。それなら凡人の我々は、例えば、起床、就寝、約束の時間の厳守、日記を書く、寝る前の腕立て100回、といった何か1つ継続できるものを生活のリズムに組み入れてはどうだろう。継続は力なり。数年か経ってイチロー選手と同じ気分に浸ることができるかも知れない」。

継続は力なり。聞き慣れた言葉ですが、イチロー選手の取り組みを知ると実践することの難しさを感じます。最初の安打1本から4,000本まで一足飛びに達成することはできませんから、イチロー選手は同じリズムの練習と生活を20年間も繰り返して記録を達成しているのです。仮に目標を4,000本に定めていたとしても、最初から4,000本目を打つことはできません。着実に同じことを継続してきた結果、辿り着いた記録です。

私たちは大きな成果を得たいと思っています。できれば今日、遅くても明日、それが訪れてくれることを望んでいます。そのため思い立った時から数日、または数ヶ月はそれを目指して継続します。

ところが情熱というものは以外と冷めるのは早いのです。覚悟を決めた初日の情熱と三ヵ月後の情熱を比べると、それらは数値化できるものではありませんが情熱のレベルは下がっています。思い続けること、そのために継続することの簡単ではないことを知ることになります。そして今回はできなかったとしても、タイミングがあえば次の機会は絶対にできると自分で自分に言って納得し継続を切断します。流石に三日で継続を打ち切る人はいないと思いますが、三ヶ月ほど経過した段階で継続しないことを選択することが多いのです。

観客に見られることのない私達は、やりたいことを簡単に諦めることができるのです。自分が決めたことは自分以外に知らないことが多く、継続することを止めたとしても誰からも責められないからです。観客に見られる職業であれば、継続することを止めてしまうとお客さんにばれてしまいます。私達は恵まれたことに、自分の仕事の成果についてお金を支払ったお客さんに見られる機会は殆どありません。

継続する力を得るためには相当の意志の強さが必要です。それがなければ人から見られるような環境に立場を置くことです。継続する力は、継続できる環境を自分で作り上げることを始めると、イチロー選手までは達しなくとも継続する力の素になります。