コラム
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2013/9/20
1329    採用条件

経営者と話したことで印象に残ることがありました。人材を採用するための条件です。

もっとも大事なことはコミュニケーション能力です。同僚やお客さんと良い関係を築けることが採用の第一条件です。人とのコミュニケーションができる人で組織を構成しなければ、小さなところから組織は分解してしまうからです。異分子は必要ですが、それはコミュニケーション能力があることが前提です。ところが最近の高校生は人との接し方や社会への適応力に欠けている傾向があります。

卒業した高校のクラブ活動などで指導していると、指導に不満を持つ生徒は親に告げ口をしたり、高校を飛び越えて教育委員会にまで不満を告げる生徒や保護者がいるようです。「そんな生徒は指導できない」ので、今ではクラブでの指導はやめていますが、先輩が後輩のためを思って指導しても、その愛情が伝わらないのです。コミュニケーション能力の欠如と自己中心主義の人間が育っているようです。知識はあっても実践能力が欠如していることや、教えてもらう姿勢がない生徒が多く、これでは社会に出た時に社会か困る状況だといいます。

最低限、そして人としてコミュニケーション能力は身に付けて欲しいものです。

続いて自分の置かれた立場を把握し、そこから先を見通せる能力です。「自分は能力が高いのに、何故こんな仕事をしなければならないのか」と思っている経験の浅い人がいます。経験も少ない、何の実績もないのに会社や社会が認めてくれることはありません。人の社会は小さなことを積み重ねて信頼を得て行きます。小さな実績の積み重ねがないのに、いきなり一人前の仕事を与えて欲しいという要望には誰も応えてくれません。

分野が違いますが、実績のあるアマチュアの選手がプロに転向する場合、前座を飛び越える場合があります。ゴルフの松山選手やボクシングロンドンオリンピックの金メダリストの村田選手などの場合ですが、一般社会でそんな事例は皆無に等しいと思います。

下積みから始まり経験と実績を積み重ねていく以外に、経営者や同僚の評価を得ることはできません。そんな置かれた立場を理解できないで、「自分に任せてくれたらもっと立派にできる」と夢みたいなことを本気で語っている人に将来性はありません。

もうひとつ大事なことは、素直であることです。人の言うことを素直に聞き入れる。そして自分の意見を言うことは大丈夫なのですが、人の言うことを聞かないで自己主張だけをする人がいます。人の意見を素直に聞けないのは最悪で、やがて誰からも評価も信頼もされなくなります。経験のない人は経験者から学ぶ姿勢が必要です。経験者は若い人の能力を伸ばし、育てよう、そして危険のないようにしようと思ってアドバイスをしています。それに対して、最初から「それは違います。自分のやり方はこうです」と言う人がいます。経験のない人が自分のやり方を示したところで、根拠も根拠のない自信もありませんから、相手にしてくれません。

高校生であれば高校生らしい素直さというものがあります。どの年齢においても素直さは必要なように、高校生らしい素直さや聞く姿勢、学ぶ姿勢はこれから伸びるために絶対に必要なことです。

コミュニケーション能力、自分の立場を理解し将来を予測する能力、そして素直さ。これらが社会で成長していくために持ち合わせておくべき能力です。