コラム
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2013/8/20
1310    幸せな人生

平成24年度をもって和歌山県飲食業生活衛生同業組合の西廣理事長と島本専務理事が退任しました。本当にお疲れ様でした。

理事長の飲食業のキャリアは50年です。裸一貫で修行を行い、自分のお店を持ち事業を拡大し現在に至っています。板前として腕を磨き、独立して自分のお店を持ち、料理人兼経営者として手腕を振るってきました。

そして事業を長男に譲ってからは飲食業組合の会長に就任し、5年間にわたって飲食組合の活動を引っ張ってきました。元来、社会的な地位は不要という考えを持っていることから、理事長職は固辞していたのですが、厳しい時代に必要な人材だという会員の方々からの三顧の礼に基づき、就任したことを思い出します。

和歌山市料理飲食組合の会長の時は、他の市の活動に負けないように和歌山市の活動を一番にしようと取り組んでいました。和歌山市の活動が活発になった実績から和歌山県の理事長へと舞台は移りました。

在職中は、何もしないでいるよりも積極的に前に出る活動を目指し行動してきました。新しい会員の参加も増え活動が活性化させたのは大きな実績です。

こんな話を伺いました。会員さんのお店での事件です。お店の誤りでお客さんの鞄に醤油をかけてしまったのです。その鞄は高級ブランド品で数十万円もする高価なものでした。弁償責任が発生し経営者は大変困りました。数十万円の損害賠償はこのお店の規模からすると、それだけの利益を得るためには数ヶ月も必要となる金額だったのです。

これでは経営していけないと思い組合に相談したところ「大丈夫。何とかするから」という言葉があり、結論としてそのお店から支払いすることはありませんでした。そのお客さんには組合が対応し解決してくれたのです。

何もない時は目立たない存在が組合という組織ですが、事件や問題が発生した時には頼りになります。お互いで運営していることと、トラブルや好事例などの経験の積み重ねと情報があるからです。

ところで、理事長のお店で三ヶ月に一度、倫理を学ぶナームの会が開催されています。理事長は若いお坊さんが講演をした後には必ず質問をします。話をするだけで緊張している若いお坊さんに「質問をするのは何故ですか」と尋ねたことがあります。その理由は、「若い人を成長させるためには質問をしてあげなければなりません」と答えてくれました。確かに質問をするためには話しの内容を聞いておかなければなりませんし、緩くもなく厳しくもない質問をする必要がありますから、決して簡単なことではありません。人を成長させるための質問をする。そんな愛情を持って人に接しているのです。

私も理事長にたくさん質問をしてもらっていますから、成長させてもらっていると感じています。

最後に「経営者として事業を成し遂げたこと、理事長として組合の仕事ができたことは人生において最高に幸せなことでした」という言葉が印象に残りました。最高に幸せなことを実現できた人生は、本当に幸せ溢れる人生です。ひとつの仕事をやり遂げた後も、これまでと違う形の活動が始まります。最高の人生の形を示して欲しいと願っています。