コラム
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2013/8/6
1306    一瞬の花火

一瞬で消え去る花火。夏を夏らしく演出してくれる最大のツールです。和歌山市で開催される港祭り花火大会は約1時間。平成25年の夏の花火大会を楽しみました。

最初から最後まで通しで花火を見るのは本当に久しぶりのことで、1時間の花火から得られたものは元気さと明日への活力でした。「花火は明日への力を与えてくれます」と言ってくれた人がいました。賑わいや儚さという感想は聞きますが、活力につながるという花火の感想を聞いたのは初めてでした。しかし勝手に自分で花火に意味をつけると、次のようになります。

一瞬で消えてしまう花火は、一瞬で終えてしまうこの時間に全力を尽くすことを教えてくれています。一瞬に凝縮された力は儚いけれど、周囲の人に確かな影響を与えているのです。そんな一瞬に込められた力を感じ、これが活力へつながっています。

日本人は花見や花火が大好きですが、これは一瞬に咲き、一瞬で消え去るという儚さを感じるからです。人生も儚いことなので、一瞬の人生を全力で生きることを感じさせてくれるのです。全力で生きるとは、成功は一瞬であっても成功に至るまでの時間はその何倍も費やしていることを知ることです。

桜は花を咲かせる一瞬のために一年という時間を費やしています。花火も打ち上げて私達を魅了するまでに費やした時間は相当なものだと思います。自分の好きなことを実現させるために費やした時間が全力で生きているということです。一瞬で終わるものだから過程は関係ないと思ったり、手を抜くことを覚えたら、あなたにとっての大切な一瞬は訪れません。

この一瞬のためにこれまでの時がある。そのためのプロセスを大事にすることが全力を尽くし、一瞬で消えても後々までも残ることになるのです。

この花火大会の後、偶然名曲「マイウェイ」を聴きました。人生は一瞬で終えるようなものだから今を生きることが大切だと教えてくれる歌です。夏は人が自由に生きている時代を表す季節です。どんなことでも自分の力できる、自分が思うことはどんなことでも実現できると信じられる眩しい季節が夏です。そんな夏の象徴が花火であり、願いや思いを打ち上げて花開かせる、そして儚く散っていきます。実現しても一瞬、実現しなくても一瞬です。私達は一瞬のドラマの中に生きているのであって、永遠の夏を生きているのではありません。

私達は若さも人生も永遠に続くものだと思っていますが、年齢を重ねると、一瞬で過ぎてしまう短いものであることが分かります。

花火に惹かれるのは、花火を見て活力や儚さを思うのは、花火を通して一瞬の持つ力を感じるからだと思います。一瞬は一瞬ですが、一瞬がなければ今は存在しません。私達はこの一瞬の中で全力を尽くす以外に明日を切り開くことはできません。誰にでも訪れる大切な一瞬のために今の一瞬に全力を尽くすのです。この一瞬に全力を尽くせない人は、いつか訪れるけれど、いつ訪れるか分からない大切な一瞬に力を発揮することはできないと思います。

花火は一瞬ですが3,000発続くと1時間の花火となり人々を魅了するのです。単発の花火で人は感動しません。一瞬は今であり、今が集まって今日になり、毎日、今日という時を生きているからです。一瞬の連続が今日という日を作っているのです。今という一瞬は次へと続く一瞬です。今の一瞬を意識して大切にしたいものです。