コラム
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2013/6/25
1279    発言機会の提供

三日間の研修会に参加しました。一日12時間のセミナーは講義と参加者体験型を組み合わせたもので、とても得るものがありました。それは知識ではなく、自分が人生の責任者になることで責任が取れる行動ができるということ。そのため誰かの被害者になっている人生を選択するのではなくて責任者の立場を取ることが主体的な生き方だということ。

もし逃げようとする内心に基づく行動を起こそうとする自分がいれば、責任者は自分であると自分に話しましょう。逃げている人生から得られるものは多くはありません。

さて三日間の研修会を終えた後、三日間通して講師を務めてくれた先生が言葉を掛けてくれました。「片桐さんがリーダーシップを取ってくれたので、とても好い雰囲気の研修会になりました」という言葉です。講師の言葉に嬉しくなりましたが、研修会では何の役割も果たしていないのにどうしてだろうと疑問に感じました。

その答えは次のようなものです。

この研修会に参加していたのは経営者や自営の事業者の皆さんだったことから、人生の背景や価値観が異なり、かつ極めて個性的なメンバーでした。それぞれの発言は自分の価値観に基づくもので、集団として伝えたい価値を共有する雰囲気ではなかったのです。

極めて論理的な考え方をする人は、論理的に納得できなければ講師の話を聞き入れません。

自分に自信のある人は、相手の意見や価値観を受け取ろうとしないで反論します。

自分に自信をもてない人もいました。人生の責任者になろうとしない人は、参加者の誰とも親しく交流しませんでした。

楽天的な人は研修会の最中に質問をするので、進行を基に戻す行為が必要となりました。

そして参加者がお互いに話を交わすことで、相互理解と心を溶かす作業を主体的に行いました。初日よりも翌日、二日目よりも三日目の方が格段に雰囲気は良くなっていきました。

僕は個性的な皆さんのいる雰囲気を支配することはしませんでしたが、発言する時と発言しない時は全体調和を優先させました。講師から「リーダーシップとはみんなの発言機会を与えること。そして発言を引き出すことです」と聞きました。自分ひとりが会をリードしていると思うことや、自分だけが成果を持ちかえろうとする姿勢はリーダーではないのです。

全体として最大の成果を見つけること。そしてみんなが参加して良かったと思える会にすることがリーダーの役割だったのです。

講師は全体を見ながら、誰がみんなに発言機会を与えられるのか、発言が止まった時に発言して会を進行してくれるのかを見ていたのです。一人で参加者全員が成果を勝ち得る研修を進めることはできません。自分だけではなくて、全体の雰囲気をつかむことが全員に発言機会を提供することになります。

人前で話しやすい雰囲気を作ること。発言しなければと思ってもらえること。自分が思ったことをみんなに伝えるようになることが集団としてのリーダーの役割なのです。

主体的に動くことは何もしなかったのですが、講師は「片桐さんがここにいてくれたことで進行がやりやすかった」と話してくれたことは嬉しい出来事でした。如何にしてみんなに発言機会を提供できるのかを考えるのがリーダーシップだという新しい発見がありました。

新しい発見をして自分のものとして取り入れることは人生を楽しくしてくれます。