コラム
コラム
2013/6/13
1272    起源を考える

優れたトップは同じことを言います。同じ日に二人の組織のトップと会いました。偶然にも同じことを話してくれました。

Sさんからの教訓。

ひとつ。規則やルールなど組織内で決ったことがあります。しかしその決め事には決るまでの背景が必ずあります。今の時代においてもそれが全て正しいのか考えることが大切です。

ふたつ。組織のスケールで考えているようでは判断が誤ることがあります。判断の尺度は会社や組織ではなくて社会であるべきで、社会の利益になるような尺度を持って判断すべきです。

この二点についてアドバイスをいただきました。偶然にも同じ日にnさんからも同じような話がありました。ある組織の仕事に関する考え方に関してのものです。

組織や社会、そして行政機関を縛ることもある法律や条例は、それができた経緯に意味があります。法制化されてから数十年が経過すると、制定に至る経緯を知っている人がいなくなり、何故そうするのかという本来の目的が分からないので拡大解釈や条文を適用する作業をしなくなるのです。もし条文に適合しない事例であっても、法制定の精神に則ったものであれば、拡大解釈して適用することも行政の仕事なのですが、そこまでの仕事になっていないことがあるかも知れません。それは法制定の起源を知らないからです。

ですから法律や条例の成り立ちを知ること、勉強することが必要となります。そこまで知識として得て県民の皆さんに対応すると親切な応対につながるかも知れません。少しのことで応対の印象は違いますから、少しのことを学ぶ姿勢を持ってほしいものです。

このように県庁も民間企業と同じように、相手の立場に立って考えるという意識、価値判断においては法律や条例と共に倫理観という定規を持って判断して欲しいと思います。冷静に温かい仕事とは、法律や条令の適用と人間味のある価値観を有する人ができるものです。法律の条文には解釈の余地を残していますし、それを補足するガイドラインなどもあります。拡大解釈する余地はあると思うので、後は所管部署や責任者の裁量によって仕事の内容は変わってきます。

憲法解釈でも時代の要請に応じて変化するものです。時代に応じて新しい人権を生み出しているのは、憲法第13条が有している価値をその時代の裁判官が、そして世論が認めているからです。条例においても、それを制定した時代と現代とは価値観が違っています。条文の解釈を違う解釈にしても良いのです。と言うよりも時代に即した解釈をして条文を塗り替えていく作業が、条文適用を図っている行政の仕事だと思うのです。

このように組織のトップに立つ人の考え方は似通っているところがあります。尺度は組織の利益を考えるのではなくて、社会や市場全体のパイを拡大できることを考えるべきで、結果して市場が拡大すれば組織の利益は大きくなり、そして社会に歓迎されるのです。また価値観は時代に応じて変化していることを知るべきです。同じ価値観が普遍的であることはありません。時代に応じて価値観は変化するものですから、前例や慣例に囚われる必要はありません。前例よりもお客さんや県民の皆さんの声の方を大事にすべきです。

自分の度量よりも大きく考えることが大切な考え方です。