コラム
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2013/5/2
1248    子どもの問題への対応

問題が発生した時、気をつけるべきことがあります。

一つは当事者双方の話を聞くことです。いじめなどの問題などが発生した場合、被害者の意見を聞いて判断することは避けるべきです。問題に関る立場になったなら、被害者の言い分を聞いて加害者の意見も聞いてから対応すべきです。相談者と利益関係が対立する相手の意見を聞くことは難しいことですが、調整する立場になれば両者の意見を聞いてから客観的に解決方法を見出す必要があります。一方の意見を聞いただけで、それを鵜呑みにしてしまい解決を図ろうとすれば問題が起きます。それは相対する人の意見を聞いていないから、意見が対立するからです。どんな問題でも二人の意見が対立している場合は、自分が全て悪くないと思っているのです。誰が客観的に見ても一方的だと判断できる場合を除き、加害者であったとして、少しでも言い分があるのです。

「実は謝ろうとしていた」、「仲直りしたいと思っていたけれど言い出せないでいた」、「悪いことをしたので父親に相談しようと思っていたところだった」など、本人か自分の意思で解決しようとしている場合もあるのです。そんな時、両者の言い分を聞かないまま第三者が仲裁に入ってしまうと、問題が拗れてしまう時があります。

「謝ろうと思っていたのに口出しされたので、謝る気がなくなった」など、後々の対応が複雑な問題に発展し兼ねません。

両者の間に入る時は、一度は両者の言い分を直接聞き、本意を確かめてから仲裁に着手すべきです。このまま対立するのか、仲直りできるものなのか、仲裁を任される人であれば判断できると思います。

もう一つ大事なことは、ボトムアップ方式をとることです。権限者に問題をあげてしまうと、中間の管理者や直接問題に関係する職位の人などの立場を失わせてしまいます。時と場合によってトップダウンは問題解決の早道ですが、気持ちの整理がつかないで表面的に解決したような気持ちになる時あるので注意が必要です。本音で話し合い時間を要してでも解決しようとすれば、当事者同士、直接関係している人で納得するまで話し合うことが大事な過程なのです。

特に子ども達の問題に何でもかんでも大人が関与することは正しい解決方法ではありません。子ども達は、時には喧嘩をして、対立して、意見を言い合って、相手の立場や気持ちが分かり成長していくものなのです。最初から大人が入って「仲良くしなさい」と握手をさせたところで、本質的な解決にはならないのです。勿論、時と場合によることは言うまでもありません。暴力行為や集団での暴行、継続的ないじめであれば、それを知り得た大人も入るべきですが、小さなことであれば、まずは自分達と友達を加えて話し合い、解決を図るための方法を考えるべきなのです。

中学生、高校生と学年が上がるにつれて子ども達は自立していきます。誰でも成長の過程で嫌なことや困難に遭遇します。自分の力で解決することが、そこから成長するために必要な試練なのです。大人からすると問題ではないことかも知れませんが、子どもの世界では大きな問題であることが多いのです。大人は両者の意見を聞いて、できるだけ当事者間で解決を図れるような行動をすべきです。