コラム
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2013/4/26
1245    ターニングポイント2

こうして向陽高校に入学した僕を待っていたのは、一年H組の素晴らしい仲間達でした。追加募集の生徒が集まっての説明があったことから、一年H組の教室に入るのが遅くなったため教室に入ると空いていたのは教壇の前の机だけでした。たった一つだけ空いていた机が教壇の前だったことから、内心「一つくらい後で来る人のために机を空けておいてくれたらよいのに。何というとんでもない席を空けているんだ」と感じたように思います。

しかしその周囲の連中がとんでもなく素晴らしい奴らだったのです。今もその時に出会った元同級生達と交流を持っていますが、16歳に出会ってから45年が経過しているとは思えないでいます。今になると16歳という時代があったことは思えないのですが、幻ではなくて確かにあの教室に存在していたのです。

流行っていたものは山口百恵、キャンディーズ、オリビア・ニュートン・ジョン、映画「ロッキー」、ドラマの「太陽にほえろ」などでした。再放送で放送されていたのが「飛び出せ青春」と「われら青春」でした。1970年代の懐かしい光景が浮かんできます。そんな時代に楽しい連中と偶々一緒のクラスになったこともターニングポイントです。

一年生の最初のテストはいずれもほぼ満点で、浮かんできたのは「追加募集の皆さんには物足りないと思いますが・・・」という説明会での先生の言葉と、高校の勉強なんて簡単だという単純な思い上がりでした。勉強をしなくても点数は取れると思ってしまったことと、ここで出会った友達と遊ぶことが楽しくなってしまったのです。今になると冗談として捉えていますが、当時はこれが大きな誤りだと思ったものです。あっという間に定期テストの点数は下がり続け「これではいけない」と内心思って焦っても、授業の速度が速いのでついていくのが大変でした。当時、進学塾は一般的ではなかったので、塾には通っていませんでした。そのため自分で勉強をして分からないところを潰していく必要がありました。

でも同級生達との交流はどんどん深まり、共に楽しい時期を過ごすことができたのです。

この頃、友人の一人から「日記を書けばその日が深まるし、気持ちが整理できる」と話がありました。文字を書く習慣はこの時に身についたと思います。良い習慣が今に残っているのは、この時のアドバイスのお陰です。

そして読書です。勉強をしないで遊んでばかりでも読書をしていた同級生が多かったように思います。代表的なものが「高校放浪紀」、「されどわれらが日々」、「贈る言葉」、「10年後」などでした。当時感銘を受けた本ですが、本質が分かったのは大人になって読み返してからです。でも文学に浸れて気持ちの良い読書習慣が身につきました。

この記録をつけることと読書という習慣が、後の人格を形成してくれたと思います。一学期を終え、夏休みが過ぎ二学期に入ると学級委員となってしまったのです。責任が生じて困ったことになったと思ったのですが、これがやってみると、みんなから支えられてとても楽しかったのです。そして短い冬休みが過ぎ、三学期は短いので継続して学級委員を務めました。本当にあっという間に一年間が過ぎました。楽しい時は過ぎるのが早いと感じますが、この高校一年生の時の時間の速度が、今までで一番速かったように思います。

こうして良き友達と良い習慣、そして責任感を身に付けることができた高校一年生が終わりました。中学時代と性格が大きく変わり、今日に至る人格形成の時期がこの時でした。