コラム
コラム
2013/4/9
1232    星座の人

「一生の仕事」というコラムを読みました。電気新聞(平成25年3月14日)に掲載された関根泰次さんのコラムです。星座の人というのは、社会を導く人という意味だそうです。ここで星座の人の代表者として佐波正一さんという人物がいたことを記してくれています。

戦後の日本復興を担った第一世代として産業界、経済界の星座の人だったようです。当時のファイナンシャル・タイムズは「非常に謙虚で万事控えめであるが芯の強さと真摯な目的意識を併せ持つ」と表現しているようです。

筆者はその時代と比較して、現代社会では星座の人がいなくなっていると感じているようです。

それは「今のサラリーマン社会ではとかく身近なこと、その時々のことに心を奪われ、長期的な視野に立って各自の能力を最大限に活かし、それに必要な社会的、文化的土壌、環境を生み出し維持することが難しくなっている、その大きな元凶はサラリーマン根性で、日本の現在の苦境は政治家、役人、会社経営者はじめ諸々がこぞってこれに毒された為とする見方もある」とコラムの結論を導いていることから伺えます。

星座の人という表現を知らないのは、現代社会ではこの表現を使っていないからです。使わないのは、星座の人に該当する人物がいなくなっていることを示しています。社会を照らす星座の人がいなければ、社会も組織も小さくまとまってしまいます。小さくても良いのですが、大きな相手と遭遇した時に太刀打ちできないのです。戦う相手が世界である場合、TPP交渉や大国となった中国との関係などは、小さな人物では太刀打ちできません。

国内においても世論は大事ですが、本当の世論とそうでない世論の見分けがつかないで、踊らされた世論に落ち着きをなくし、自分に与えられた使命に基づいた判断ができない経営者は組織を弱めてしまいます。

政治家や経営者が星座の人でなければ、国民や従業員は不安に包まれ、国力や企業力は弱って行きます。普段は偉そうなのに、力のある相手と向かい合うと小さくなってしまう人物に乱世の時代のトップは務まりません。

そんな社会だからこそ、「非常に謙虚で万事控えめであるが芯の強さと真摯な目的意識を併せ持つ」人物でありたいと思いたくなります。それは、普段は誰に対しても腰が低くて柔らかいけれども、いざという事態になった時、芯の強さを発揮して目指すべき視点を持ち、現状の壁を突破する力を持っていることです。

外面は柔らかいけれど、内面は強さを秘めている。そんな人物が星座の人になれる資質を持っているように思います。

そんな時、和歌山市内の某学校でPTA会長を務めている人がこう話してくれました。「最近、視点を変えると社会が変わるように思えてきました。大人が変わると子ども変わるからです。片桐さんのキャッチフレーズの看板を見るとそう思います」。

自分が視点を変えると見えるものが違いますし、同じように自分と接している相手も視点を変えてくれます。そうすると自分を中心とした社会が変わっていきます。それが伝播すると社会全体が変わっていくと信じたいものです。自分だけ、今だけではなくて、みんなのため、将来のためという視点を持てるなら星座の人が近づいてきます。