コラム
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2013/3/15
1216    卒業

平成25年の暖かい春の日。和歌山市内の公立中学校では卒業式が挙行されました。

卒業生の皆さん、卒業おめでとうございます。暖かくなり始めたこの時に3年間の思い出を抱えての卒業。期待と不安の入り混じった心境だと思います。平成25年は金曜日の卒業式ですから、和歌山県内の公立高校の入試は来週の月曜日となります。せめて今日の日は卒業の喜びを味わい、友達と一緒にいられる中学校での最後の瞬間を刻んで下さい。友達同士であっても二度と同じ教室で会い、ふざけあうことはありません。人生の中の貴重な一日が今日という日です。

来週になればそれぞれ違う高校入試を受け、違う道に一歩を踏み出すことになります。中学校を卒業してから高校入学までの期間は所属する学校がない。つまり無所属の不安定な状態に置かれます。心身とも不安な時期ですが、暖かい春と人生の春を迎えるために大切な季節なのです。

中学校の卒業式と高校の入学式は大人になっても、幾つ年齢を重ねても覚えているものです。振り返った時に、学生時代が楽しい思い出になるような毎日を過ごして欲しいと願っています。友達を作る、大切にする、楽しく学校に行く、勉強をする。それらの何気ない日常が、過ぎ去ると大きな宝物になっています。中学三年間でも抱えきれない楽しい思い出を作っていると思います。皆さんは経験したその分以上に大きく成長しているのです。

大人になって思うことは、学校という節目のある時期を教育者が作ってくれていることは有り難いことです。大人になると節目は自分で作らなければならないからです。節目が作れないと漫然と何の成果もないまま一年を終えることになります。学校は一学期から三学期まで節目を設け、成長するための授業と校内行事を用意してくれています。ハードルを越える経験が人を成長させてくれるのです。中学校時代や高校時代はそのことに気付きませんが、気付かないとしても成長するための大切な季節なのは間違いありません。

今の中学生は携帯電話を持っていますから、卒業式後は教室に集まり、友達同士で記念写真を撮るそうです。卒業式を終えてからでも名残惜しい心で会話を交わし写真を撮っています。明日からは同じ道を友達同士で通学する時間はなくなります。寂しく感じると思いますが、節目とはそういうものです。今までいた場所に戻れなくなる線が引かれるのです。決して線を越えて戻ることはできません。やがて人生は戻ることできないことを知り、人は前に向いて歩く選択をするのです。それが成長する過程になります。

これから迎えようとしている高校の三年間は、もっと時間の経過が早く感じます。中学校卒業の時は輝く時間ですし高校入学の時も輝く時間です。輝ける時間を過ごしている学生達におめでとうの言葉を伝えたいと思います。

中学校卒業から高校入学までの間は、とても不安で進学などの話で両親とも見解の相違が始まる季節です。でも不安を超えると希望が始まります。自分への期待、これから始まる新しい学校に対する希望。ワクワクする季節が始まります。また中学校卒業の今と同じように楽しい3年間が過ぎ去ります。

いつか時が過ぎ、今は想像できないような時間だと思いますが、あっという間に訪れる何十年後に懐かしい顔に出会う場面が現れます。今は同じ学校でみんなが同じような生き方をしていますが、その時はみんながそれぞれ違う人生を過ごしている途中です。素敵な生き方をしてきた人の顔はやはり素敵になっています。何年後も輝く時を過ごせるように、今を全力で楽しみ、悩み、勉強をして、そして大人へと成長して下さい。