コラム
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2013/3/18
1217    2013年WBC日本対台湾戦

4年に一度のワールドベースボールクラシック。通称WBCですが、予選第二ラウンドの日本対台湾戦をテレビで見ました。その日は三人の懇親会の日だったのですが、二次会の静かな雰囲気のお店に行った時、普段は使用していないテレビを写していたのです。それがWBCの日本対台湾の一戦でした。結果は延長10回、4対3で日本が勝利しました。

国際大会の緊張感と真剣さ、この一戦を落とせば後がなくなるというトーナメント方式のスリル感。見ていて試合の緊張感を楽しめました。テレビに向かって拍手を贈る経験は、それほど多くありません。こんな遠くからの応援が選手に届いているのだと信じられる試合でした。祈りの力は距離に関係なく、同じ波長を持っている人のところに届くと聞くことがあります。打って欲しいと真剣に祈る気持ちは、打ちたいと真剣に思っている選手の波長にシンクロするのだと信じます。日本中のお祈りの気持ちが選手に届いたと思うと、一緒に国を背負っている感覚を持つことができます。

それにしても国際大会で戦うことの重みと緊張度は別次元です。国の威信を掛けて戦うことの誇りと選ばれた選手達の全力プレイを称えたいものです。国家を背負って戦うことの重さと誇りは戦ったものでなければ分からないものですが、国を背負えることは本当に素晴らしい経験であり一度は味わってみたいものです。

クライマックスは9回表の2アウトランナー二塁の場面です。2アウトから盗塁を決めた鳥谷選手は凄いと思いますし、追い込まれた場面で同点となる安打を放った井端選手の執念に感動しました。あの緊張が最高潮に達する場面で、盗塁や安打を放つことは超人です。普通の人であれば緊張で何もできない身体と精神状態に陥ると想像します。国際大会というプロ野球選手であっても経験が少ない舞台で、普段通りの精神力で実力を発揮し結果を出せる選手達はどんな訓練をしてきたのでしょうか。

緊張する大事な試合で、自分の持てるものを全て発揮することは簡単ではありません。

井端選手の役割はスーパーサブだったそうです。1次ラウンドのヤフオクドームでは、素振り部屋が狭く、食堂の机や椅子を端に寄せてバットを振り続けていたそうです。そんな姿を知っていた監督は井端選手を起用していたというのです。

土壇場で力を発揮するためには、このように見えないところで努力することが必要なのです。何の準備もしないでいて、緊張する場面で力を発揮できる訳がないのです。大事な場面が訪れる時のために、日頃から成果を出すための練習を続けることが、震えるような場面で仕事をする秘訣なのです。

そして台湾の監督の戦いの後の言葉も素晴らしいものです。謝監督は「感動したのは我々も同じです。心臓がばくばくしました。しかし今日の試合はもう終わり。また明日新たな試合を戦うという気持ちで行きます」というコメントです。敗れたけれども感動体験をしたことを誇りに思っていること。そして結果が出てしまったことをあれこれ言うのではなくて、これから決着をつけられる次の試合に気持ちを切り替えています。

国際大会は真剣勝負であり、終わった後はお互いを称えあうものでありたいものです。それが国を代表している選手が持つべきレベルです。国を背負うことの素晴らしさ。国際大会を応援できることの幸せ。そう感じた人は、人の幸せを自分の幸せとして感じられる人です。