コラム
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2013/1/28
1186    理性と秩序

人間と動物が違うことがあります。それは理性と秩序があることです。動物から人間に進化する時に脳に新しい皮質が生まれました。そこが理性と秩序を司っているのです。動物も人間も持っている古い皮質に対して、人間だけが持っているのが新しい皮質です。

ですから理性と秩序あるのが人間であり、それを必要とする現代社会で生きるのが大人なのです。ところが大人でも高齢者でも理性と秩序が欠け始めている場面に遭遇するようになってきました。

飲食店において若い店員の接客態度が悪いと怒鳴り散らす大人。とても格好が悪いです。

最近のサービス業は対応も提供するサービスレベルも高くなっています。もし若い店員の接客態度やサービスレベルが低ければ、社会で生きる大人であれば心を持って注意することで、お客さんへの配慮の何が不足しているのかを気付かせてあげるべきです。

JRの駅員さんからは、日々の仕事は波のように押し寄せる苦情との戦いであると聞きました。信じられないような件数の苦情があり、頭を下げる毎日があります。最近はちょっとしたことで怒り出すお客さんが多いそうです。しかも年配の大人が駅で怒り出すのはみっともない光景です。

態度が悪い、サービスが悪い。政治が悪い。悪いという言葉を数多く使用している人が、その環境の中で事態が良くなることはありません。良いことを心掛けていると悪いという言葉は使う頻度は少なくなります。良い言葉を使っていると良い事象が表れ、悪いという言葉を使っていると悪い事象を引き寄せてきます。

反論できない立場の店員や駅員に、苦情や不満を言い散らすのは余り格好の良いものではありませんし、人間が持っている筈の理性と秩序をなくしている光景です。

会社や社会への不満が蓄積されていると、自分に降りかかる些細なことでも腹が立つことになります。会社で上司に怒られた帰り道。早く帰ろうと思い駅に着いたら電車が遅れている。普段なら怒りが出てこないと思いますが、上司への不満と重なって怒りに火がつきます。

冷静に考えると、鉄道会社は電車を遅らせたい訳がないのです。それには必ず理由があります。大雨で線路が浸水したことや、異常が見つかり安全確認を行っていたことなど、お客さんの安全確保を第一として運行している筈です。

つまりお客さんである私達のために安全運行してくれている駅員に対して、怒り出すことは理性を欠いた行為です。

人には個性があるからという反論もありそうです。しかし個性とは、自分が好き勝手にしても良いことではありません。社会秩序を守り、理性をベースとしてその上に成り立つものです。理性と秩序をベースに自分を磨き続けて光り輝く個性が成り立ちます。個性のある人は人格者であるべきです。社会や人に迷惑を掛ける個性、人が見て感じが良くない個性は磨かれた個性とは言いませんし、大人の取るべき態度ではありません。

人間社会に生きている私達です。人間社会のルールやマナー、周囲への気配りは最低限守った社会生活をしたいものです。