コラム
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2013/1/22
1182    情報は等価交換

情報の原則は等価交換です。一方が与えるだけで一方が受け取るだけの情報交換は成り立ちません。お互いが有用な情報を等価値で交換するので信頼が成り立ち、以降も情報交換できる関係が築けるのです。典型的な事例がスパイ活動です。スパイは相手国の情報を探ることが役割ですが、相手国の情報を得るためには相手国の重要人物と信頼関係を築くことから入ります。信頼関係のない相手に情報を提供することはないからです。では信頼関係を築くには、まず紹介者が必要です。信頼できる筋の紹介者を通じて重要人物に接触することになります。当然、仲介する紹介者も重要人物に信頼されている人物ですから相当の人物であることは当然です。

情報のソースを漏らさない、決して裏切らないという信頼関係が成り立ってから、情報交換が始まります。スパイが情報を得る相手は需要人物であるか、相手国のスパイであることがあります。二重スパイという存在がありますが、これは自国を裏切っているのではなくて、相手国の情報を得るために必要な活動手段でもあります。もっと言うならば、相手国の重要人物に信頼されているか、相手国のスパイに信頼されているなど、一級の人物である必要があります。信頼に乏しいスパイが二重スパイをできる訳がないのです。

繰り返しますが、情報の交換は等価交換が原則です。同じ価値を持つ情報を有しているから、スパイ活動は成り立つのです。優秀なスパイは自国から信頼されていますし、相手からも信頼されるという資質を持っているのです。

もし情報の等価交換ができない場合は代替物が必要に成ります。それは金品など価値のあるものを提供することが交換条件となるのです。

現代社会の日常においてもここから来ている習慣があります。何か頼み事をする時や情報の提供を依頼する場合に手土産を持参することです。これは手土産に価値のあるものを欲するのではなくて、相手の人物を図っているのです。価値あるものを貰いに来るのだから、それを提供するのに見合うだけの人物であるかどうかを見極める分かり易い方法が手土産なのです。

ですから手土産を持って頼みごとに来る相手と、何も持参しないで頼みごとに来る相手では人物のステージが違うのです。何故なら情報の交換、つまり信頼関係を得るには等価交換が原則だからです。一方的依頼をするだとか情報を得るために会ってくれる相手に対して、自分から何も提供するものがない場合は等価交換が成り立ちません。ですから成り立たない部分を補うために手土産を持参するのです。物ではなくて人物を量る手段として手土産があるのです。

勿論のことですが、一度だけの情報交換で等価交換が成り立たない場合。つまり情報を受け取るだけという借りを作った場合、次回は返してもらうことができるのであれば問題はありませんが、相手が必要とする情報を返すだけの自信がない場合は、その時の情報交換や頼みごとの場面では貸し借りのない状態にしておくことが原則です。

人に依頼をする場合や、情報を得る場面には気をつけておきたい原則です。