コラム
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2012/12/18
1165    一瞬に生きる

一流の人との時間は濃密です。福岡ソフトバンクホークスの小久保選手は、野球の指導を通じて子ども達の将来を輝かせてくれています。夢のプロ野球選手が身近なところにいることで野球少年達は目を輝かせています。憧れの小久保選手とのキャッチボールをしている時、緊張した中にも喜びがあり、「ナイスボール」という掛け声に笑顔が零れました。小久保選手の投げたボールを受けられる。そして自分の投げたボールを小久保選手が受けてくれる。そのことがどれだけ子ども達を成長させてくれるのでしょうか。きっと一生忘れることはないと思います。ここからプロ野球に進む選手も出てくるでしょうし、プロ野球に進めなくても一瞬の出来事はずっと心の中の宝物になります。

「プロ野球の世界は良いところだぞ」。東京ヤクルトスワローズの松井二軍総合コーチが子ども達に投げ掛けた言葉です。自分が目指すべき世界が素晴らしい場所であることを伝えてもらえることで憧れが強まり、そこを目指す野球少年の励みになります。身近なところに目指すべき場所に立った選手が存在していることは憧れが現実に近づくからです。

人生の中のたった一瞬の出来事かも知れません。学童野球チームだけが参加できる小久保裕紀杯は小学校6年生にとって最後の試合になります。二度と小久保選手と会えないかもしれませんが、この一瞬が人生の宝物として消えることはありません。

ほんの一瞬かも知れませんが、輝いた時があれば人は生きていけます。そして人生は一瞬が連続しているものなのです。一瞬を疎かにしていると人生は輝きません。生きている今は一瞬の中にあるからです。この「一瞬に生きる」は小久保選手の座右の銘です。勝負の世界を生きてきた小久保選手は、一瞬の勝負の大切さを知っています。投手が打者に投げるボールは一瞬で捕手に届きます。バットがボールを捉えるのは一瞬で、その一瞬の出来事が明暗を分けるのです。

その一瞬だけに集中できる選手が一流だと思います。人には雑念があります。仕事をしていても人と会っていても、次の予定が気になることがあります。今この人と仕事をしているのに、協議が長引いて次の予定が30分後に迫ってくると、心は次の仕事に向かっています。何時、この協議を切り上げようかと心の中で考えが巡ります。そうです。今のこの一瞬に生きていない状態になっているのです。

今この瞬間だけが生きられる時間なのです。ここに集中しないで良い仕事、良い人間関係ができる筈はありません。人は今の瞬間よりも次の予定が気になる習性があります。次の予定も大事なのですが、今の瞬間に集中して、そして次の予定が今になった時に、その予定に集中すべきなのです。得てして、次の予定の場所に入った時、時間を気にして、もうその次の予定を気にし始めることがあります。やはり一瞬に生きていないのです。

繰り返しますが、人が生きられるのは今のこの一瞬だけなのです。この一瞬にすべきことを集中して全力を尽くすことが生きることなのです。心が先に行って今を生きていない人は、積み重なるものがありません。

今のこの一瞬を生きることが人生であり、一瞬の継続が人生を作っているのです。