コラム
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2012/12/17
1164    挑戦するための言葉

オリックス・バファローズの森脇浩司監督の言葉の続きです。苦労して一軍監督に就任した森脇監督の言葉には感銘を受けます。弱いことを認めて強い相手に挑戦する姿勢が大事なことが分かります。強い相手と同じことをしていても追いつくことはできないのです。

強い選手はやはり人の何倍も練習を続けています。人と同じことをして人より抜きん出ることはできないことを知るべきです。以下の森脇監督の言葉は、2012年11月に産経新聞に連続して掲載された記事の中から抜粋させていただきます。

「こんな機会を逃したら、変化するときがないんじゃないかというくらいのタイミング。まずは一歩踏み出すことが大事。変化の大敵は固定観念。プロの世界で実績は尊い。でも問われるのは「今まで」ではなく「きょう何ができるか」「きょう期待できる人」」。

固定観念が大敵だということです。多くの人は自分の観念が固定化していることに気付いていないのです。そこで他人から指摘を受けることがありますが、得てして反発してそれを実行しようとはしません。それが固定観念であり自分の変化と成長を妨げるものになっています。

練習をしないで昨日できなかったことが今日できる筈はありませんし、できない人が期待されることはありません。そのために、今までできなくても今日できる人になることを目指すこと。今日の日に期待される人を目指すためには、今日に至るまでの練習をすることです。

「一番よくないのは人任せにすること。人任せにしてきたところに、こういう結果があるんじゃないのかな。今一度、各人の自覚が必要だと思う。試合だけじゃなくて練習から、またはグラウンドを離れた時間でも「プロなんだ」という自覚が必要だと思う」。

失敗したのは誰々のせい、上手く行かなかったのは誰々が悪いから、それでは進歩や成長はありません。人任せにしないで結果責任は自分で担う覚悟を持ちたいものです。失敗の悔しさを感じることができ、次は繰り返さないための練習に向かう姿勢が責任を担うということです。

「よく当たり前のことを当たり前にやるのがプロといわれるけど、強いチームは当たり前の項目が多く、仕方がないというところの幅が非常に狭い。強くないところは当たり前の項目が少ないし、うまくいかなかったときに「仕方がない」という幅が非常に広い」。

当たり前のことを当たり前にやっても評価されません。できると思われているからです。しかし当たり前のことを実行するには繰り返しによって習慣化し、当たり前になるので技術を磨く必要があります。当たり前にできることを増やすことは、仕方ないという言葉がでる範囲を絞っていくことになります。仕方がなかったという逃げ言葉を使わないように、日常や仕事で繰り返して起きるような事象に対しては、それが意識しなくても当たり前にできるようにしておきたいものです。

最後に福岡ソフトバンクホークスの小久保選手の当たり前のことを記します。当時青山学院大学だった時代のある指導者が、某選手に尋ねました。「一日どれだけ素振りをしているのか」。その選手は「300回です」と答えました。続けて小久保選手に同じことを尋ねました。小久保選手は「1,000回です」と答えました。小久保選手にすれば、一日1,000回の素振りが当たり前だったのです。別に他の選手と比較して自慢に思っているのではなくて、毎日当たり前にしていることだったのです。

他の選手がやっているので、仕方なく1,000回やっていた訳ではありません。自分が練習を続けることによって当たり前にしてしまった凄さと強さを感じます。その時から20年後の今、小久保選手は2,000本安打を達成し、その時300回と答えた選手はプロ野球に行くことはありませんでした。