福岡ソフトバンクホークスの小久保選手はプロ入りしてから手帳をつけています。引退した現在、19年間の手帳が手元に残っています。新人の頃からアドバイスを受けたことを記入している手帳が現役を終えた今は残りました。平成25年2月に初めての本を出版することになり、現在執筆中であることを明かしてくれましたが、この手帳が役立っているのです。
当時の王監督からのアドバイス、現監督の秋山監督の現役時代にもらったアドバイスの言葉などが書き込まれているそうです。これがあるから本を書けることも伝えてくれました。そうでなければ、「19年前のことを覚えていないでしょう」ということです。確かに19年前のことも1年前のことも忘れてしまっています。ましてアドバイスの内容は、どんなに良いことを伝えてくれていても書かなければ忘却の彼方です。
王元監督や秋山監督の言葉を手帳に書いているので、簡単に言えば、感銘を受けた言葉は手帳に書いてある言葉をそのまま書くだけで良いのです。そのまま書くほうが受けた感銘を伝えられるからです。
その中に王元監督の「報われない努力はありません。努力が報われなければ、それは努力とは言わないからです」という言葉があることを話してくれました。努力はそれを目指していた結果が表れるから努力であり、途中で止めてしまったものは努力とは言えないのです。
小久保選手は自分で不器用だと言っています。プロ野球選手の中には器用な選手はたくさんいます。2回から3回、スローイングを繰り返すだけでその技術を取得してしまう器用な選手もいます。しかし小久保選手は新しい技術を身に付けるために繰り返して練習をしたと言います。200回も300回も繰り返して新しい技術を身に付けていったのです。
できなければできるまで繰り返すことが、一流になるために必要なことなのです。器用な選手よりも不器用な選手の方が生き残るのかも知れません。全体練習を終えた後、壁にボールをぶつけて一人で守備練習を繰り返したことも伝えてくれました。一人で何百回も繰り返して技術をモノにしていくのです。
もし繰り返すことができることを才能だというのではあれば、その才能はあると自信を持って話してくれました。新しいことは何百回も繰り返すことで自分のモノにできるのです。
手帳に戻ります。聞いて感銘を受けた話を手帳に三個書き込むことを目標にすることをアドバイスしてくれました。毎日手帳にみっつの感銘を受けた言葉を書き込むことで人は成長できます。今日の小久保選手の感動的な講演内容も、書いておかなければ明日になれば半分以上忘れてしまいます。感銘を受けた言葉も例外なく忘れてしまいます。
忘れてしまうことは何も身についていないことになりますし、他人の言葉や経験から何も学ばないので成長しないことを意味します。社会で人よりも前に行く人は、手帳に人からの意見を書いています。小さなことのように思いますが、やがて大きな差となって表れます。
不器用だと話してくれた小久保選手は2,000本安打を達成しました。でも同じ時期にプロ入りした選手で2,000本安打を達成した選手は少ない事実がそれを表しています。手帳が全てとは言いませんが、技術的なアドバイスや指導者からの精神的なアドバイスなど、自分が必要なものを支援してくれる言葉を書き留めて忘れないようにしたこと。そしてそのアドバイスを繰り返して練習したことが、一流選手に成長してくれたことも事実です。手帳に書き込むことができることが他の人と差になって表れることを教えてくれました。
聞いたことは手帳に書き込むこと。継続すること。一流の人からのアドバイスです。