コラム
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2012/12/12
1161    微差は大差

オリックス・バファローズの森脇浩司監督の言葉に感銘を受けました。次の言葉です。

「僕は微差は大差だと思っている。その日だけで見ればほんのわずかなことで、取り上げるまでもないようなちょっとしたことでも、それらが積み重なれば大差になる」。

世の中の出来事は紙一重の差が大きな差となって表れることばかりです。毎日同じことを繰り返して練習や実践している人の実力は伸びて行きます。初めは同じ実力であっても10年もすれば大きな差となって表れます。

ビジネスの例では分かり難いので、スポーツで例えると分かり易くなります。オリンピックの金メダルと銀メダルの選手の差は微差であることが多いのです。100メートル走だったらゼロ・コンマ何秒の差ですし、プロ野球の3割バッターと2割9分のバッターの差も、わずかの差です。500打席で150本のヒットを打つと3割バッターで、同じ500打席で145本のヒットであれば2割9分のバッターになります。レギュラーシーズンを通じてわずか5本の差が一流とそうでない選手の差となって表れます。シーズンで5本の差であれば運不運もあるでしょうし実力差はそれほどないと思いますが、そんなことは関係なく3割バッターは一流であり2割9分のバッターはそう評価されないのです。

ホームランでも本塁打王と二位との差はわずかの場合があります。わずか1本の差の場合もありますが、それでもタイトルは一位の選手のものです。

これら微差の差は大差となって記録され評価される結果として残るのです。

ビジネスの場面でも同じです。一流のビジネスパーソンとそうでないビジネスパーソンの差はわずかです。でも一位と二位の差が大きな差となって評価されています。会社の場合、一位が代表権を持ち、二位の人は退職または出向になることは珍しくありません。

ビジネス書の購入者のことを聞きました。ビジネスセミナーに参加していると参加者は講師の著書を購入することが多いのです。学ぶ上での覚悟として講師の本を買うことは当たり前だと思っているからです。ところがビジネス書を買っている人はビジネスパーソンの中のわずか5パーセントに過ぎない話を聞きました。信じられないと思いますが、現実はそんなものです。つまり勉強する機会を持たないビジネスパーソンが大半を占めていることになります。

ビジネス書やセミナーを受講したからといって偉くもありませんが、自己に投資していることは確かです。一人がセミナーを受講している時間、一人は娯楽に興じているとした場合、その日だけを見ると差は感じることはありません。翌日、出勤しても差は感じることはありません。しかしそれが一年も続くと上司や同僚も感じるほどの差となって能力や雰囲気、仕事の成果で現れます。

ビジネス書を読むことは大した努力ではありません。セミナーを受講することも大したことではありません。しかし大したことのないことを継続していることが大きな差となって表れるのです。毎日の努力を継続することが他人との微差なのです。

微差は大差につながることを覚えておきたいものです。