コラム
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2012/11/21
1147    ピークパフォーマンス

能力以上のことをしようとするから人前であがるのです。得意分野や自信のあることの話をする場合は人前ではあがりません。しかし不得意な分野や事前準備が不十分な場合はあがります。それは自信を持てないので上手く話せるかどうか不安になるからです。

会場で人前に出る直前になって「まだやっておくべきことがあった」と思うとあがってしまうのです。普段からやっている内容で話をすることができるなら、特別緊張することはありません。

自分の秘めている能力を発揮することをピークパフォーマンスといいます。直前になって、また持ちえていない知識や能力を得ようとするよりも、自分が秘めている能力を信じていざという場合に発揮できる訓練をする方が良い結果が残せます。

試験の前日に所謂、一夜漬けで知識を得ようとしても朝起きると覚えていないだとか、うろ覚えのため答案に書けなかった経験のある人は多いと思います。普段やっていないことを直前になって慌てて詰め込んでも身に付いていないので、本番で思い出せないのです。

それよりも普段から勉強していると、試験直前になって暗記しなくても試験当日に集中すれば知識が出てきます。秘められた能力は、集中することで必要な時に引き出せるのです。

大事な発表などをする場合、前日にあれもこれもと考えるよりも、前日は早い目に就寝して身体と頭を休めて朝起きる方が良いのです。秘められた能力は脳が忘れることはなく、必要に迫られた時に引き出してくれるのです。

ピークパフォーマンスという言葉を教えてくれた大学教授は、「発表の前日、血眼になって覚えた事柄が、発表当日の大事なところで思い出せなかったことがありました。それに対して前日はゆったりとして早く寝た時の方が発表はスムーズに進み、会場からの質問にも対応できる場合が多いのです。頭の引き出しにしまっている知識は集中力があれば引き出せるようになっているのです。これをピークパフォーマンスといいます」と話してくれました。

ピーク時にパフォーマンスを発揮できることができれば、直前になって能力以上の知識を詰め込むことは必要ないのです。

自分で理解していることは、仮に原稿があったとしてもそれを読むことはありません。読まなくても自分の言葉で原稿に書かれていること以上の表現をすることができます。

ところが内容を把握していないで余り自信をもてない場合の発表だと、原稿に書いた通りの言葉での発表となります。それでは聞いている方も話の内容を理解できないのです。

人前で話しをする時は、どれだけ素晴らしい言葉が散りばめられた原稿を読むよりも、自分の言葉で状況に応じて話をする方が内容や感情が伝わるのです。式典などで誰かが書いた挨拶原稿を読み上げられても心に響かないのはそのためです。自分で感じたこと、自分で行動したこと、自分で経験したことを自分の言葉で話すことが自信のあるパフォーマンスとなるのです。そして行動したことや経験したこと、考えて得た答えなどは、普段使わないので頭と心の中に沈んでいます。それらの表現が必要となる時に、つまりピークパフォーマンスとして頭と心の引き出しから出てきてくれるのです。