コラム
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2012/11/7
1139    人のために尽くすこと

平成24年に90歳の誕生日を迎えるNさん。とてもお元気で、高齢者施設への慰問活動を行っています。後輩である入居者を励ますために訪問をしているのです。目的は入居者に夢を与えて元気になってもらうことにあります。Nさんと話をした高齢者の方々は、例外なく元気になっているのです。元気をもらった高齢者は、それ以降は別人のように活動的になっています。やはり何歳になっても明日への夢を持つこと、元気な人と接すること、そして自分でできることは自分でやると元気な人生になるのです。

Nさんも脳卒中で倒れた経験があり今でも半身が不自由です。それでも元気に活動をしているのは、人の元気のために行動しているからです。自分は元気なので、常に人を元気にすることを念頭において励まし続けているのです。

自分が入院した時のことです。自分の治療は後回しにして、同じ病室の入院患者さん達を励ますために話を聞かせているのです。「入院している人を元気にすることが、私が入院している目的です」と思って周囲の皆さんを励まし続けたのです。人を元気にするためには自分が元気である必要があります。自分に元気がなく、覇気もなかったとしたら、人を元気にすることはできません。自分が元気でいるから人を励ますことが可能なのです。Nさんは入院しても自分は絶対に大丈夫だと思っているので、自分の治療のことは気にしないで他の人を励ますことができるのです。人の元気のために尽くすことは自分も元気になっていることと同じなのです。

やがてNさんが先に退院することになりました。入院患者の皆さんはとても寂しがったのです。もう病室でNさんの話を聞くことができないからです。入院中の患者さん達は、元気になれる話を聞くことが元気の源であることを知ったのです。

でも元気を与えているNさんが一番先に退院できたのは、Nさんが人に元気を与えているので、結果として神様から自分が元気をもらっているからです。与えるものが与えられるものを実践している事例です。

ところで、元気になるためには身体に痛みがあった場合でも痛いと思わないことです。痛いと思う代わりにありがとうございますと思うと、有り難いことが起こります。痛みが治癒してくるのです。痛いと思うから痛く感じるのであって、有り難いと思うと痛みは感じなくなるのです。ありがとうの言葉は有り難さを連れて来てくれるのです。Nさんが人生を大切にする話しを話すことができるのは、自分の人生を大切に思って生きていた裏付けがあるからです。命懸けの人生を過ごしてきたから人生を好きになれているのです。

そして、これまでお世話になってきた人に対する恩返しの気持ちを持っています。恩返しができる機会があることほど有り難いことはないと話してくれます。恩を受けたら恩返しをすることが当たり前で、その恩返しの機会が与えられること幸せなことなのです。恩返しを面倒などと思ってはいけません。恩返しができる立場になれていることに感謝すべきなのです。人は人に助けられて生きています。自分が知らないところで人に助けてもらっているのですから、人のために尽くすことは当然のことなのです。