コラム
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2012/11/9
1140    自分を超える

Nさんの人生の話の続きです。Nさんは13歳の時に丁稚奉公に出ています。13歳の時から6年間、丁稚奉公のため大阪で生活をしました。朝4時に起床してトイレ掃除、お風呂の掃除などをしてから仕事に着手します。配達などの仕事をし終えると夜になっています。食事を取ってお風呂に入るともう夜の遅い時間になっているのです。そんな辛さから1年間は毎日のように母親に「辛いから帰りたい」と手紙を書いていました。

しかし全然は親からは返事が来ませんでした。返事があったのは1年の終わり辺りでした。母親からの手紙はたった一行だけ書かれていました。「辛抱せよ」という一行だけだったのです。しかしこの手紙をもらって辛抱することが大事なことだと分かり、以降5年間、弱音を吐かなかったのです。

そして19歳から3年間、戦争のため軍隊に入隊しました。満州や南方などを転戦して後、宮崎県に戻り米軍を迎え撃つ訓練をしている時に終戦を迎えました。命がないと思っていた戦争を生き延びたのです。

そして終戦後に就職して23歳の時には勤勉さが認められて工場長になりました。その後独立したのですが、独立するに際して銀行から融資を受けました。丁稚奉公の6年間辛抱してきたので独立しても事業に成功するという信念があったことから、銀行の支店長が融資を決めてくれたのです。泣き言を言っても信用はしてくれません。信用は信念から生まれるものなのです。

独立してから事業は順調でした。社長になってから45年間、1年のうち362日間は毎朝4時30分に起きて、従業員さんとその家族の幸せを祈るために神社にお参りを続けました。どんな時も45年間欠かさないで自分のことは後回しにして従業員さんの皆さんのためにお参りを続けたのです。そのお掛けで事業は発展し、無事に現役を引退することができたのです。見えないところにお陰があることを学んだそうです。

そして人に尽くすと神様は先回りをして道を開いてくれることを知ったのです。辛いことでも自分が先頭に立って解決に立ち向かうと、神様は自分の後に付いて後ろから押して助けてくれることも知りました。

人は命懸けで根気よく、そしてありがとうの感謝の気持ちを持つことで、神様は人生を良い方向に向かわせてくれるのです。

そしてNさんと会ったその日の最後に素晴らしい話を聞かせてくれました。「信頼できる同士が集まって話し合いをする機会があることは最高の人生の生き方である」と言う言葉です。話し合いができること、自分の思っていることを話せること、そして相手の話を聞かせてもらえる機会は、人生における最高の時間なのです。

集まれる仲間がいること。助け合える仲間がいること。話し合いをすることができる仲間がいること。これらは全て素晴らしい人生であり、最高の生き方なのです。

集まり、助け合い、話し合う中から自分を超えることができます。自分を超えてこそ大きな喜びが味わえます。自分を越えていく機会が多いほど喜びも増え感動を味わえます。