コラム
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2012/9/14
1110    優秀<行動

歴史を教えてもらったり現代の活動家と話しをしていると大切なことに気付きました。歴史や現代の出来事は人が創り出しているものですが、歴史や現代を創っているのは優秀の人ではなくて行動した人だということです。行動する人だけが歴史を創れますし、悔いのない人生を送った人だと思うのです。

きっと才能豊かな人はいっぱいいた筈です。そして自分の前で繰り返される出来事を見ながら、このように思っていた筈です。「自分がやればもっと上手くできる」。「才能のない奴がやるとこうなるのだよ。自分だったら成功できる」と。

でもやれる立場にならなければ出来ないことばかりです。自分ができる立場を目指すことが、その立場で自分がやれることにつながります。表に出ないで誰にも聞こえないところで「自分がやれば上手くできる」と言っていても、現実はそうならないのです。行動しない限りは絶対に。

思っているだけの人が歴史で活躍した例はないのです。思って行動すること。または優れた思いがあるけれど自分では出来ないので身近なリーダーに託した人はいたと思います。託した人は思っているだけではなくて誰かに託すという行動を起こしていますから、やはり行動の人なのです。

自分の昔のことを思い出しました。20歳そこそこの時、嬉しい仕事に就くことができました。自信があったので、その場所でも即戦力として企画やリーダーの役割を与えてくれると思っていました。ところが行っても行っても、先輩が企画した書類をコピーするばかりで、企画の中にも入らせてもらえませんでした。こんな台詞ばかりの指示がきました。「これコピー焼いておいて」、「人数分コピーやっておいて」、「○ページを差し替え。資料の差し替えを頼む」。こんな指示ばかりだったのです。

当然、仕事は面白くありませんし、コピーをしている時間は暇なので資料を読んで、内心こう思っていました。「この程度の企画?自分だったらもっと良いアイデアがあるから、もっと良い企画になるのに」と。

翌年、その企画のリーダーの立場になりました。これで実力が発揮できると思ったのも束の間でした。人をリードしていくのはとても難しいことだと知りました。そして自分一人のアイデアはそれほど凄いものではないことも分かりました。後輩はリーダーの考えを探っていますし動きを見ています。リーダーには後輩が思う以上の考えと行動が必要なのです。そんな仕事をして、例えば資料のコピーを依頼しなければならないのです。後輩は資料を見ながらコピーをします。「何だ、この程度の企画?」と思われたらリーダーではありません。

人をリードすること、率先して行動することは最も難しい仕事なのです。人に付いて行く方が遥かに楽なのです。付いていく立場であれば不満があれば文句を言っていたら良いからです。リーダーは企画と実行をした結果責任を取らなければなりません。立場が変わるとそのことが分かりました。コピーや資料の整理は、リーダーに向かう余暇みたいなものだったのです。仕事の余暇をサボってはいけません。先輩に付いて仕事が与えられる余暇の時間は、気付きと成長するための助走期間なのです。

その大切な余暇とも言える仕事の時間を怠けてしまうと、どれだけ優秀であっても人をリードして行動する立場になれません。人に付いて学べる期間に学ばない人はリーダーにはなれないのです。そんな人がリーダーの行動を批判するのです。しかし公の意見として発言できなければ行動ではありませんし、仕事を通じた社会や会社などの歴史創りに参加できないのです。付いていくのは簡単。批判するのも簡単。責任のない立場で意見を言うことも簡単。

でもリーダーは大変。責任ある立場で発言することは大変なのです。でも歴史を創れるのはリーダーまたはフォロワーとして行動する人であり、責任を持った発言のできる人だけなのです。