コラム
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2012/7/30
1085    人材確保

厳しい時代に就職活動を行っている学生の皆さんは、本当に頑張って欲しいと思います。狭き門は続いていて就職は格段に難しくなっています。

お世話になっている企業の役員の皆さんと今年の就職事情について懇談する機会を何度かいただいています。今年の特徴は全国から募集が来ていることです。和歌山県内に本社がある会社なので、平成23年までは県内出身の学生の希望者が多かったのですが、平成24年は関西や中部地域だけではなくて首都圏からも就職希望者の応募が殺到しています。募集定員4名に対して応募者は約500人ですから相当な狭き門です。大学名で判断できるものではありませんが、有名な大学では東京大学や京都大学が代表的でそれ以外にも俗に言う一流大学からの希望者が多くなっています。しかも和歌山県出身者ではない学生の応募が多いのが特徴です。和歌山県としては県外から学生が就職して来てくれることは、若い人の人口が増えることになるので歓迎ですが、反面、和歌山県出身者が押し出されて県内に戻れない状況にもなっています。

会社は存続と繁栄を目指すものですから、優秀な人材に集まってもらうことが大切です。一流大学からの就職希望者が多いことは嬉しいことですが、地元の若い人にも地元に就職して欲しいという思いもあります。

この会社の経営者からは「一流でなくても非エリートの方が伸びる可能性を秘めていると思うことがあります」という話がありました。勉強の成績が社会人としての成績に直結するものではないからです。過去、一流大学卒業者も採用していますが、職場のリーダーになっているのは勉強以外の様々な経験をしている人材の方だそうです。

勉強だけの人材は上司や同僚との人間関係が苦手で、一個人としての能力が高いとしても組織全体で考えるとマイナス面もあるようです。会社は組織力で勝負するものです。会社組織は抜きん出た一人よりもチームワークの高い組織の総合力が勝ります。勿論、一人の天才が会社を変える例外もありますが、それは宝くじの当選を期待して待つようなもので、やはり協調性のある人材が組織の基礎となります。

社会人としての能力は、人に好かれること、協調性があること、入社したと時よりも伸びている人、つまり勉強している人ではかられます。上司や同僚から信頼されること、お客さんからの信頼が厚いことも人材に求められる資質です。信頼される能力は勉強の成績ではなくて、人から愛される人柄を持っていることです。

入社した時と20年後、30年後では人の能力の伸びは違っています。入社時の成績は良くなくても先輩やお客さんから好かれ、周囲の人から学び続ける人材であれば、20年後や30年後には会社を支える人材に成長しています。

人事の役割は、そんな人として伸びるであろう部分を想像して将来の期待値が高い人材を確保することにありますから500人もの応募者を見極めて採用することは難しいことです。

組織を継続させることの難しさを実感できました。そんなことを思うと、人から望まれる人材でありたいものです。